イラスト/西田ヒロコ
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 2024年から始まった新NISA(少額投資非課税制度)。プロは実際にどのように活用しているのだろうか。資産が億超えし、FIRE済みの個人投資家で『お得な使い方を全然わかっていない投資初心者ですが、NISAって結局どうすればいいのか教えてください!』(すばる舎)などの著作もある桶井道(おけいどん)さんに新NISAの戦略を聞いた。

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「つみたて投資枠では資産の最大化を、成長投資枠では配当金(分配金)の最大化を狙います。私は現在50歳。つみたて投資枠は10~15年後の60歳か65歳まで運用して、全額を売却した後、特定口座で東証ETF(上場投資信託)を買って分配金の最大化を目指します」

「成長投資枠が主役で、つみたて投資枠は脇役である」というのが基本的な考え方だという。

「そもそも投資信託の取り崩しは考えになく、高配当株および増配株からの配当金、東証ETFからの分配金を最大化させていき、『じぶん年金』の構築を目指しています。ポートフォリオの完成形としては、日本株は成長投資枠+特定口座で25銘柄(もしくはそれ以上)+外国株は特定口座でETFを活用する予定です」

人間は老いるという観点

 お金の増やし方ばかりがクローズアップされているが、新NISAは恒久化されるからこそ「出口戦略」がより大切になってくると桶井さんは言う。

「新NISAでお金を増やした後に、『どう守るのか? どう使っていくのか?』が大事な視点になります。投資は、いかに効率よくお金を増やすかという『数学的』要素をもって語られることが多いですが、人間には心があり、人間は老いるという観点を忘れてはならないと思っています。私は、投資信託を取り崩す出口戦略は難しいと考えています。ですから、高配当株や増配株から配当金を得る、ETFやREIT(不動産投資信託)から分配金を得る、そうして『じぶん年金』を構築することを出口戦略として考えています」

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平常心で取り崩すことができるでしょうか?