桶井さんは3つの理由を語ってくれた。

「一つ目は、数年ごとに必ず暴落相場が訪れます。暴落とまでいわずとも5%程度の下落は普通にあります。老後資産として、投資信託が3000万円あったとしましょう。5%下落すれば150万円も目減りします。そのなかで、その月の生活費を平常心で取り崩すことができるでしょうか? いまのあなたは会社からの給料があるから、なんとも思わないかもしれません。けれど『老いたあなた』には公的年金と投資信託だけが頼り。その状況では平常心で投資信託の取り崩しなどできないと思います」

 2つ目の理由は「人間の老い」である。老いると、投資に必要な判断力、視力、手指の動きなどが鈍くなると桶井さんは指摘する。

「もちろん、いまのあなたは投資判断ができるでしょう。文字も見えるでしょう。スマホやPCの操作にも問題ないでしょう。しかし、『老いたあなた』はそうはいきません。認知能力が弱くなります。目も見えづらくなります。手指の動きも鈍くなります。私は父が高齢になって投資家を引退することを目の当たりにしましたので、よく分かります。『老いたあなた』には、投資判断的にも、操作的にも、毎月の取り崩しということは簡単ではなくなると思います」

再現性が高い方法

 そして最後に挙げるのが「資産枯渇リスク」だ。

「投資信託を取り崩していると、65歳の当初は十分にあったと思えた資産(評価額)も、85歳になったら『あとこれだけしかないのか。100歳まで持つだろうか?』と資産枯渇リスクを感じるようになるでしょう。後期高齢者になってからお金の不安を感じ、長生きリスクなる言葉が顕在化するのは、私なら嫌です。『じぶん年金』なら元本を取り崩しませんから、これら3つの悩みとは無縁です。また、配当金なら、あらかじめおおよその額が分かるのもメリットです。持続可能であり、再現性が高い方法であると思います」

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『出口戦略』には向かない