ツアーバスでローソン富士河口湖町役場前店にやってきた外国人観光客=富士河口湖町、米倉昭仁撮影

 実は、「次はこのローソンだ!」と、外国人が集まり始めている店舗がある。河口湖駅か西へ約1キロ離れた「富士河口湖町役場前店」だ。

 河口湖駅前店に比べて駐車場が広い。敷地の端に陣取った外国人10人ほどが、やはり富士山をバックにローソンを撮影していた。

 ところが、数分後、なんと大型の観光バスが到着。外国人観光客がぞろぞろと降りてきた。ツアーバスが休憩のために立ち寄ったわけではないことは、すぐにわかった。観光客はそこにいた撮影集団と合流し、同じように写真を撮り始めたのだ。

「迷惑行為はやめてほしい」

 調べてみると、ツアーはドイツに本社を置く旅行会社が催行していた。東京からの富士山日帰りツアーには、新倉山浅間公園や忍野八海などとともに「富士河口湖町のローソン」が含まれていることもわかった。

 富士河口湖町観光課の中村美瑠(みると)さんは言う。

「町役場の近くにあるローソンなので、観光バスで写真を撮りにやってくる外国人観光客をよく見かけます」

 観光地なので、「外国人観光客に来ていただけることはすごくうれしいが、『交通事故が心配』『私有地に入らないでほしい』という住民からの声は多く、迷惑行為はやめてほしい」という。

モデル撮影の現場のようなローソン富士河口湖町役場前店=富士河口湖町、米倉昭仁撮影

ローソンは対応を発表

 ローソンも対応に苦慮している。今月5日、「河口湖駅前店」「富士河口湖町役場前店」について、近隣住民や店舗の利用客に迷惑がかかっていると詫びたうえで、対応策をホームページに掲載した。

 河口湖駅前店には、最近、「道路横断禁止」を多言語表記した看板が設置された。加えて、駐車場や道路での撮影が危険であること、道路横断やゴミの放置の禁止などマナー順守の看板も早急に追加するという。さらに、警察や自治体と相談のうえ、警備員の配置も検討中だ。

観光客が飛び出し! 危うく記者も事故に

 こうした問題は、富士河口湖町の隣の富士吉田市の中心部「本町通り」でも起こっている。富士山を背景に昭和レトロ感ある通りを写そうと、外国人が集まっているのだ。

 記者の車が本町通りを走っていると、いきなり目の前に人影が現れた。急ブレーキを踏むと、カメラを手にした外国人だった。しかも、1人や2人ではない。

 同市富士山課の勝俣美香課長はこう嘆く。

外国人観光客で賑わう本町通り=富士吉田市、米倉昭仁撮影
暮らしとモノ班 for promotion
2024年の『このミス』大賞作品は?あの映像化人気シリーズも受賞作品って知ってた?
次のページ
車道からの撮影が流行っている