<ライブレポート>LiSA、デビュー13周年の祝福をファンと叫ぶ武道館ライブ【LiVE is Smile Always~i SCREAM~】完遂

 LiSAのソロデビュー13周年を記念したワンマンライブ【LiVE is Smile Always~i SCREAM~】が、2024年4月19日、20日に東京・日本武道館で開催された。

 2日目の4月20日は、1stミニアルバム『Letters to U』がリリースされたデビュー記念日。13回目の“誕生日”を祝福するために集まったオーディエンスとともにLiSAは、デビューから13年の軌跡と“今”の表現を同時に示すステージを見せつけた。

 オープニング映像のアニメーションが描き出したのは、喜びや悲しみを声に出して表すことができない“NO SCREAM”の街。映像に登場するアメ車はルート13を通り、アイスクリーム(i SCREAM)ショップを目指す。声が出せない世界を抜け出し、自由に叫びまくることができる場所へ――。

 ステージの真ん中に当てられたスポットのなかに現れたのは、一人の少女。LiSA自身のインナーチャイルドを想起させる彼女が「LiTTLE DEViL PARADE」のサビを可愛く歌い上げると、観客はピンクのペンライトを振りながら大きな歓声を上げる。その直後、ステージの上方(アイスクリームショップの屋根)の椅子に座ったLiSAとダンサー4人(yUkA、risako、NOSUKE、RyuICHI)が登場。ヘビィなバンドサウンドとともに〈魂 叫べよ 孤独とキスを〉というラインを響かせ、ライブは幕を開けた。階段を下り、ステージの真ん中に立ったLiSAはピンクのコートを脱ぎ捨て、「ROCK-mode」へ。〈声は出るでしょ? ご機嫌いかが?〉という歌詞に呼応するように、凄まじい歓声と掛け声が会場を埋め尽くした。

 「【LiVE is Smile Always~i SCREAM~】日本武道館へようこそ! 今日は大切な記念日です。今日は13周年にたどり着いた“アイスクリーム屋さん”。叫ぶ準備はいいですか!?」というMCの後は「ANTIHERO」「confidence driver」などのアッパーチューンを次々と放ちまくる。「今日皆さんはどこにきたんですか? “i SCREAM”しにきたんじゃないの!?」と煽るLiSAもめちゃくちゃ楽しそうだ。「リスキー」ではLiSAがテレキャスターを演奏。「覚醒屋」では「たらったらったらったったー」の大合唱が巻き起こり、「L.Miranic」ではラウドな音像と鋭利なボーカルによって会場全体の興奮をさらに引き上げる。ライブ前半はシングルのカップリング曲、アルバム曲が中心だったが、観客全員が瞬時に反応し、凄まじい一体感へとつながっていく。根底にあるのは言うまでもなく、13年という時間のなかで築き上げてきたLiSAとファンとの絆だ。すべての曲にリアレンジを加え、現在進行形の表現へとアップデートさせていた“わんたんにゅーめんず”こと、石井悠也(Dr.)、柳野裕孝(Ba.)、白井アキト(Key.)、PABLO(Gt.)、生本直毅(Gt.)、岩村乃菜(Cho. / Perc.)の演奏も素晴らしい。

 楽曲の世界観やメッセージに沿ったステージングも心に残った。「"PROPAGANDA"」ではダンサーがポリス風の衣装で登場。〈Find out by yourself〉というシンガロングのなか、LiSAは拡声器を使ってアグレッシブな歌声を響かせる。「愛錠」ではダンサーのyUkAとrisakoとともにボンデージ的なコスチュームで官能的なパフォーマンスを披露。ジャズのエッセンスを取り入れたアレンジも楽曲の魅力を増幅させていた。

 ここでライブの雰囲気は一変。アイスクリームショップの店員に扮した男性ダンサー二人が「NO SCERAM」と書かれた看板をモップで叩き壊し、ジュークボックスの電源を入れたことをきっかけにポップで楽しいダンスメドレーへ。「ノンノン」「エレクトリリカル」「WiLD CANDY」「スパイシーワールド」をメドレーでつなぎ、カラフルなサウンドとお揃いの振り付けで盛り上がる。続く「Rally Go Round」で〈楽しんだ者勝ちのゲームなんだ 2024年4月20日!〉と歌詞を変えたり、いろんな場所に楽しい仕掛けが施されていて、一瞬たりともステージから目が離せない。大掛かりな映像やステージングだけではなく、細部にまで“楽しみたい、楽しんでほしい”という気持ちが込められていることもまた、LiSAのライブのエンターテインメント性の源泉だろう。

 この時間帯で個人的にもっとも心に残ったのは、「I'm a Rock star」だった。〈誰かの希望に あたしもなれたら/歌いたい 今日の日の歌を〉と歌うこの曲がリリースされたのは、2013年4月。当時は“願望”だったかもしれないこのフレーズは、10年以上の時間のなかで“現実”となった。ひとつひとつのフレーズを手渡すように歌う姿からは、“これからもあなたたちのロックスターでありたい”という意思がはっきりと伝わってきた。

 バンドメンバーを紹介するムービーを挟み、再び少女とLiSAが登場。「LiTTLE DEViL PARADE」のサビを二人で歌い上げ、「悲しいとか、全部全部叫んで、アイスクリームにして食べる準備はいいですか?」というMCとともに“L.D.P”という掛け声が響き渡った。「一斉ノ喝采」でもハンドクラップ&大合唱が巻き起こり、「マジ最高!」と叫んだLiSAはここで観客に向かって語り掛けた。

 「本日2024年4月20日、13周年を迎えました! 前回の武道館ライブでは叫べなくて、みんなの声が聴こえなくて、すごく悔しかった。私の曲はみんなの声があってやっと完成する曲ばかりなんです。それはみんなと一緒にライブで作ってきた曲ばっかりだから。そういう悔しさ、お祝いの気持ちを含めて、思い切り叫んでもらえる“i SCREAM”というライブを用意しました。まだまだ叫んでもらってもいいですか!?」

 「REALiZE」からライブは一気にクライマックスへ向かった。夜のドライブを想起させる映像とともに放たれたのは、「Psychedelic Drive」。曲中に店の上に移動し、ジュリ扇を持って踊りまくるLiSA。爆発音とともに火花が立ち上がり、圧倒的な高揚感を演出した。TVアニメ『魔法科高校の劣等生』第3シーズン オープニング・テーマである新曲「Shouted Serenade」のインパクトも強烈。「Rising Hope」とのつながりを強く感じさせるこの曲は、彼女の新たなライブアンセムになるだろう。

 「歌って!」というLiSAのシャウトによって、この日もっとも大きな大合唱が発生。LiSAが打ち鳴らすドラムとともに「ADAMAS」が放たれ、武道館全体が大きな感動で包まれる。

 そして本編ラストは「Hi FiVE!」。デビュー5周年のタイミングで発表されたミニアルバム『LUCKY Hi FiVE!』に収録されたこの曲は、オーディエンスと一緒に未来へ向かう意思をダイレクト示したナンバー。13周年を記念したライブで「Hi FiVE!」を共有できたことは、LiSA自身、そしてファンにとっても大きな意味があったはず。曲中で伝えられた「初めてこのステージに立ったあの日、悔しくて悔しくて、帰って泣いたあの日。倍返しして武道館を仲間にしたあの日。それからたくさんのお祝いの日を武道館で過ごしてきました。いつだってみんなとの最高の未来を思い描いて、このステージに立ってきました。今日は13周年のお祝いです。ありがとう! まだまだ走り続けるから!」という言葉も心に残った。

 アンコールを求める強烈なコールに導かれ、再びステージに登場したLiSAは、ピアノの弾き語りで「HELLO WORLD」を披露。さらにバンドメンバーの音が加わり、壮大なサウンドスケープを生み出してみせた。

 「13年前、この日本武道館で11回目もみんなとデートできる未来は思い描いていませんでした。私は今、最高の未来に立っています。本当にありがとうございます」と改めて感謝の気持ちを言葉にした後、9月からはじまる全国アリーナツアー【ソニー銀行 presents LiSA LiVE is Smile Always~COCKTAiL PARTY~ [SWEET&SOUR]】を告知。大きな拍手と歓声が巻き起こるなか、「もう1曲やりたい!」と「halo-halo」でハッピーな雰囲気を生み出した。さらに「Rising Hope」へ。解放感と興奮が渦巻くなか、ライブは幕を閉じた。

 13周年のアニバーサリーを祝い、叫びまくった【LiVE is Smile Always~i SCREAM~】。その最大の収穫は、今もなお進化を続けていること、そして、この先の未来を明確に示したことだと思う。


Text by 森朋之
Photo by Viola Kam (V'z Twinkle)

◎公演情報
【LiVE is Smile Always~i SCREAM~】
2024年4月19日(金)、20日(土) 東京・日本武道館