結果的に、多選批判を受けながらも現職の青木氏が当選。伊藤氏の得票は2万369票で、青木氏に5070票も及ばなかった。“小池効果”も“玉木効果”もなく、都民ファーストの回から過去2回の都議選で伊藤氏が獲得した票数より少なかった。

 同じことが4月28日に投開票される衆院東京15区補選でも起こるのだろうか。

 小池知事が擁立した乙武氏は「無所属」であることを強調し、自らが所属するファーストの会以外に推薦願を出さないと言明した。これが7万票以上あると言われる自民票からそっぽを向かれる原因となった。自民党は4月12日、乙武氏本人から推薦願が出ていないことと、地元からの強い反発があることを理由に、乙武氏の推薦を見送った。

 公明票については選挙マシンと言われる創価学会女性部が、8年前の不倫報道を理由に乙武氏の応援を渋っており、それが各情勢調査にも反映しているようだ。

 実際のところ、乙武氏は当初、まったく上位に食い込めていなかった。日経新聞が4月19日に報じたところでは、9人の候補のうち6番目と沈んでいた。

「いくらなんでも一定以上の順位じゃないと」

 しかし4月22日に報じられた朝日新聞の調査や23日公表の選挙ドットコムの調査では、乙武氏はトップを独走する立憲民主党の酒井菜摘氏を追う塊の上位にいる。

 公明党関係者が打ち明ける。

「どうやら、創価学会女性部の一部が動き出したようだ。乙武氏を小池知事が応援している以上は、いくらなんでも一定以上の順位じゃないとまずいということらしい」

 おそらく目黒区長選の結果が顕著に出すぎたため、軌道修正する必要に迫られたのだろう。とはいえ、終盤で一気に逆転できる可能性は大きいはずがなく、表層的なメンツをかけた動きに違いない。

“女帝”は時に魔法を使い、その力と地位は永遠に盤石だと我々に思い込ませてきたが、その魔法が解けるのも、そう遠くないかもしれない。

(政治ジャーリスト・安積明子)

暮らしとモノ班 for promotion
2024年の『このミス』大賞作品は?あの映像化人気シリーズも受賞作品って知ってた?