八王子市は萩生田氏の地元だが、自公が推薦した初宿和夫氏は野党系の候補にリードされていたが、それを挽回(ばんかい)するために投開票の前々日に小池知事に応援に入ってもらったのだ。
初宿氏は無事当選を果たしたが、小池知事にとってもメリットはあった。千代田区、豊島区、青梅市、そして江東区に続き、自分の息のかかった首長が誕生することは、都政での権力基盤をいっそう固めるためには都合が良い。
そして4月21日投開票の目黒区長選には、小池知事の腹心の伊藤悠前都議が出馬した。伊藤氏は民主党時代の手塚仁雄衆院議員(現立憲民主党)の秘書だったが、目黒区議から都議に転出し、2005年の都議選では2万3809票を獲得してトップ当選。09年も民主党に吹き始めた風に乗り、大きく票を増やし3万7430票でトップで当選した。
見えない公明票の動き
13年の都議選では落選したものの、17年の都議選では都民ファーストの会から出馬し、有効投票の42%の4万7674票も獲得して返り咲いた。そして、21年の都議選でも2万3117票でトップ当選するなど断トツの強さを見せていた
これに公明票が加われば、目黒区長選で6期目を目指して多選を批判されていた青木英二区長に伊藤氏が勝てると見込んだのだろう。
23年の目黒区議選では、公明党候補の総得票数は1万653票。区内には約1万票の公明票があると見ることができる。なお20年の同区長選では、青木区長は自公の推薦を得て3万178票を獲得したが、立憲、共産、社民、生活者ネットの推薦を得た山本紘子氏に3270票差まで迫られていた。
今回、伊藤氏には小池知事に加え、国民民主党の玉木雄一郎代表まで応援してくれるのだ。計算通りであれば、当選は固い。
ただ、大きな懸念があった。今回、選挙戦で公明票の動きが見えてこなかったのだ。