語り口は極めて温和なテリー伊藤さん(撮影/上田耕司)

 今年1月期のドラマ「不適切にもほどがある!」(TBS系)は、現代では考えられない主人公の言動が視聴者に大きなインパクトを与えた。昭和では当たり前だと思われていたことが、コンプライアンスの厳しい令和ではいかに「不適切」かを痛快に描き、放送日には毎回、SNSでさまざまな考察が飛び交った。このドラマがウケた理由を昭和の第一線で活躍してきたテレビマンはどう見るのか。天才プロデューサーとして型破りなバラエティー番組を数多く手がけてきたテリー伊藤さん(74)に話を聞いた。

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 取材冒頭、テリーさんにドラマ「不適切にもほどがある!」についての感想を聞くと、こう返ってきた。

「オリジナルの脚本を手がけたクドカン(宮藤官九郎)のうまさが光ったね。コンプライアンスが厳しくて、今はニュースでも、バラエティーでもできないことを、ドラマでならできると考えて、あえて不適切な単語や行動をドラマに盛り込んでいった。このテクニックがすごいなと思った。ドラマがウケたのはその痛快さや懐かしさじゃないかな」

 ドラマは、阿部サダヲが演じる主人公・小川市郎が、1986(昭和61)年と2024(令和6)年をタイムスリップし、時代のギャップに直面し悩みながらも、自身をアップデートしていくという物語。第1話の冒頭が「起きろブス、盛りのついたメスゴリラ!」というセリフから始まるように、薄毛や身長、女性の容姿などをからかうセリフもあり、ことあるごとに「1986年当時の表現をあえて使用して放送します」という“注意テロップ”が流れた。

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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ドラマで「物足りなかった」部分