今回は、愛子さまが中学3年生の修学旅行で広島市の原爆ドームなどを初めて訪れ、平和への願いを卒業文集に書いたことを振り返ったものだ。
 

 広島をはじめて訪(と)ひて平和への深き念(おも)ひを吾子(あこ)は綴れり
 

講書始の儀で講義を受ける愛子さま=2024年1月11日、皇居・宮殿

 愛子さまは今回、出席しなかったが、和歌を披露。学業に打ち込んでいる学生らしいもので、卒業論文の研究テーマとしている中世の和歌が千年の時を経て現代に受け継がれていることへの感銘を詠んだ。
 

 幾年(いくとせ)の難き時代を乗り越えて和歌のことばは我に響きぬ
 

歌会始の儀を終え、皇居を出る秋篠宮妃の紀子さま=2024年1月19日、読者の阿部満幹さん提供

重なる佳子さまと姉の和歌

 秋篠宮家の次女佳子さまは、小春日和の青空の下で、色鮮やかな紅葉が風に揺れて美しく見えた情景を詠んだ。昨年の29歳の誕生日に際して撮影された、紅葉を眺める佳子さまの姿が思い起こされる。
 

 待ちわびし木々の色づき赤も黄も小春日和の風にゆらるる
 

 この歌について、皇室の事情に詳しい人物はこう話す。

「紅葉を待ちわびる佳子さまの和歌に、長女の小室眞子さんの和歌を思い出した人も少なくないのではないでしょうか」

 新型コロナの影響で、日程をずらして開催された2021年3月の歌会始で、眞子さんはこんな和歌を詠んだ。夫の小室圭さんとの結婚をめぐり、世間の注目を集めていた時期だ。
 

 烏瓜その実は冴ゆる朱の色に染まりてゆけり深まる秋に
 

 当時、ある宮内庁関係者は「染まりてゆけり」の句について、「恋が深まっている思いを表現しているとの印象を受けた」と話していた。

 前述の人物は今回の佳子さまの和歌に、

「遠からず結婚へのご準備があるのではと注目されている現状や眞子さんとの再会など、置かれた状況を重ねて受け取る方も少なくないかもしれません」

 と、思いをめぐらせる。
 

歌会始の儀を終え、皇居を出る三笠宮家の彬子さま=2024年1月19日、読者の阿部満幹さん提供

 一般に親しく接する機会が限られる皇族方。しかし、家族への愛情や周囲への思いなど、詠まれた和歌からは深い胸の内が浮かび上がってくるようにも感じる。(AERA dot.編集部・永井貴子)

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