皇族方が出席される公務や公式行事は、ときに皇族方のお気持ちや、ふだんの様子が垣間見える機会でもある。そんな公務の「あのとき」を振り返る(この記事は「AERA dot.」に1月20日に掲載した記事の再配信です。肩書、年齢等は当時のもの)。
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皇居・正殿で1月19日、天皇、皇后両陛下主催の歌会始の儀が執り行われた。今年のお題は「和」。天皇陛下は出会った人びとの笑顔を、皇后雅子さまは長女愛子さまの成長の喜びを詠み、愛子さまは学問への感動、秋篠宮家の次女佳子さまは、紅葉に想いを込めた和歌を披露した。
正殿「松の間」に、モーニング姿の天皇陛下と、白や水色、紫など色鮮やかなローブモンタントを着用した女性皇族たちが着席している。皇后の雅子さまだけが他の皇族女性と異なり、帽子をかぶらないのは、両陛下が歌会始の儀の主催者であるためだ。
儀式では、一般から選ばれた預選歌と和歌を選ぶ選者の歌、天皇陛下に招かれて歌を詠む召人(めしうど)の和歌に続き、皇族方と皇后さまの御歌(みうた)、そして最後に陛下の御製(ぎょせい)が披講される。
静寂な松の間に、古式ゆかしい節回しで、和歌が詠みあげられる。
昭和の侍従長だった入江相政氏は、坊城俊民らとの共著『宮中新年歌会始』のなかで、一般から和歌を募る歌会始の儀式について、「あれほど皇室と、一般世間とが、かたく結びつけられているものもない」と書いている。
江戸時代までは宮廷内の私的行事だったが、明治天皇が国民から和歌を募ることにしてから皇室と人びとが絆を結ぶ場になったという。
そしてその通り、天皇陛下は訪問先で出会った人びとの笑顔に接し、心が和んだ気持ちを詠みこんだ。
をちこちの旅路に会へる人びとの笑顔を見れば心和みぬ
学生らしい愛子さまの感銘
今年の「和」という題に対して、平和を願うわが子の作文に心を動かされた心境を詠んだのは、皇后雅子さまだ。雅子さまはこれまでも、長女の愛子さまを指す「吾子」への愛情を和歌に詠み、成長への喜びを表現してきた。