松田聖子

悲劇をプラスに変える力

 さらに、通い始めて2年目にはひとり娘・神田沙也加の死という悲しい出来事にも見舞われた。ただ、大学での勉強に励むことでその悲しみもいくらかやわらぎ、乗り越えることにつながったのではという見方もある。

 たとえ悲劇でもそれをプラスにできる「人生力」のようなものが備わっていることが、聖子を大スターたらしめてきたのだ。

 そういえば、最初の夫・神田正輝も体調不良に苦しみながら「朝だ!生です旅サラダ」(テレビ朝日系)に出続けている。彼もまた、ライフワークを諦めないことで、ひとり娘に先立たれた悲しみを乗り越えようとしているのだろう。

 松田聖子、62歳。その生き方はときに打算的と評されるが、目標のためにはどんな努力も惜しまない姿がそう見えるだけかもしれない。アイドルとして芸能人として女性として、そして人間としての強さが、夢を現実にできる最大の武器であり、多くの人を惹きつけるゆえんだ。(一部敬称略)

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宝泉薫

宝泉薫

1964年生まれ。早稲田大学第一文学部除籍後、ミニコミ誌『よい子の歌謡曲』発行人を経て『週刊明星』『宝島30』『テレビブロス』などに執筆する。著書に『平成の死 追悼は生きる糧』『平成「一発屋」見聞録』『文春ムック あのアイドルがなぜヌードに』など

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