福島刑務所

医師の診察を受けられない実態も

 22年、名古屋刑務所の刑務官による受刑者への暴行や暴言が明るみに出たことを機に、刑事施設内での人権保護のあり方を見直す動きが広がっている。今年4月から、全国の刑務所では、受刑者を呼び捨てではなく「さん」付けで呼び、職員の呼称も「先生」ではなく「担当さん」「職員さん」などに変える運用がスタートしている。

 こうした改革の機運があるなかでも、一部の刑務所ではいまだ人権侵害といえるような規則や慣習が残っている。福島県弁護士会の人権擁護委員長の穗積学弁護士と、同委員で今回の眼鏡没収事案を担当した足立龍太弁護士は、それぞれこう話す。

「福島刑務所では昨年から、腿(もも)を45度まで上げさせる軍隊式行進が廃止されました。しかし、刑務所は特殊な世界です。服役するだけで十分な罰なのに、それ以上に人権を制限して苦痛を与えるような細かいルールは全国的にもまだまだあります」(穗積弁護士)

「委員会に定期的に届くのは、医療についての事案です。神経痛、痔、アレルギー性ぜんそくなど、病気を抱える受刑者がなかなか医師の診察を受けられない実態があり、各地の弁護士会が20年以上前から勧告しています。これからは少しずつ状況が改善すると信じて、訴え続けるしかない」(足立弁護士)

 “塀の中”だけで通用していた不条理な規則や常識は、時代とともに見直されるべきだろう。

(AERA dot.編集部・大谷百合絵)

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