シリーズ累計80万部突破!
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 本音では皆がアホに対してアベンジャーズのように立ち上がって戦ってほしい。声を上げることの大切さは今の「世界の分断」や「地球温暖化」の問題を見る限りとてもよくわかる。

 アホと戦うのは若者の特権でもある。エネルギーも時間も豊富。そこで戦いに敗れ傷ついても、回復は早いし、致命的なダメージにならない点も若者の利点である。

 戦うことの意義や、戦いが思い通りにならないことも早いうちに学んでほしい。勝つためにはどういう戦略・戦術が必要かも知ってほしい。なぜなら、守るものができ、人生の目標がはっきりし、立場もできあがってきてから、アホと戦うことは容易ではないからだ。

 まず、失うものが大きすぎる。そして社会に出てから立場や守るものを背負って出会うアホに勝つ難易度は半端ではない。アホは、ポジション、資金力、権力を使って邪魔してくる。昔からアホが駆逐されないことには根拠があるのだ。そこからアホと戦うことがどんなに割に合わないかを思い知らされるだろう。

 ただちに戦ってもいいと私が思うのは、あなたがなにもかもを持ち合わせている場合だ。それこそスーパーヒーローのように。生まれながらに資金力や権力に恵まれ発信力もある人も世界にはいるだろう。そういう人は戦ってもいいというより、戦う義務があると思う。

 しかし、多くの人がそうではない。ならば自分の人生の目標を達成することを最優先にした方がいい。敵をつくらず味方を増やし、アホまでも巻き込み、その力を使って、人生の目標を達成してほしい。したたかに清濁併せ呑み、体制下で爪を研ぎ、時代を味方につけて、時を見て、味方をつくって立ち上がれたら立ち上がるという。じつは『頭に来てもアホとは戦うな!』もそういう思いで書いた。

 英語でいう「Don’t fight every battle」である。戦わずに戦うという道を戦略的に選んでいこう。

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田村耕太郎

田村耕太郎

田村 耕太郎(たむら・こうたろう)/国立シンガポール大学リー・クアンユー公共政策大学院兼任教授。ミルケン研究所シニアフェロー、インフォテリア(東証上場)取締役、データラマ社日本法人会長。日本にも二校ある世界最大のグローバル・インディアン・インターナショナル・スクールの顧問他、日、米、シンガポール、インド、香港等の企業のアドバイザーを務める。データ分析系を中心にシリコンバレーでエンジェル投資、中国のユニコーンベンチャーにも投資。元参議院議員。イェール大学大学院卒業。日本人政治家で初めてハーバードビジネススクールのケース(事例)の主人公となる。著書に『君は、こんなワクワクする世界を見ずに死ねるか!?』(マガジンハウス)、『野蛮人の読書術』(飛鳥新社)、『頭に来てもアホとは戦うな!』(朝日新聞出版)など多数

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