公私ともに関係の深かった水原氏(左)と大谷選手(写真:AP/アフロ)

水原氏への“情”は残っている?

 声明のなかで、大谷選手は水原氏のことを「一平さん」とさんづけで呼び、時折、唇を噛んでいるようにも見えた。大谷選手は水原氏に対していまだ“情”のようなものが残っているのだろうか。

「そこは、やはり6年間の濃い関係があったからでしょう。これまでの感謝の気持ちが『一平さん』という表現に現れたのだと思います。その一方、『ウソ』という言葉も6回ほど繰り返し、複雑な気持ちが交錯していることがうかがえました。これまでの感謝の思い、パートナーを失ってしまった悲しみ、そして、これから進んでいく決意……いろいろな気持ちを声明の中に感じ取ることができました」

 ともあれ、大谷選手は声明で身の潔白を説明したことで、これからもドジャースで活動していくことに障壁はなさそうだ。

「大谷選手の声明内容を考えれば、メジャーリーグ機構や球団から処分が下されることはあり得ないと思います。今シーズンも100%の力を出して活躍してくれるはずですし、何よりも日本人としてまた応援できることがうれしいですね」

 水原氏というパートナーは失ったが、ドジャースでの野球人生は始まったばかり。すべてを吹っ切るような特大ホームランを見たい。

(AERA dot.編集部・上田耕司)

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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