東浩紀/批評家・作家。株式会社ゲンロン取締役
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 批評家の東浩紀さんの「AERA」巻頭エッセイ「eyes」をお届けします。時事問題に、批評的視点からアプローチします。

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 東京・上野の国立西洋美術館(西美)で「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?」という一風変わったタイトルの特別展が開催されている。65年の歴史のなかで初めて行われる現代美術の展覧会だ。

 現代美術は部外者にはわかりにくい世界だ。美術といえば絵画や彫刻が連想されるが、現代美術ではパフォーマンスやアクションなど作品がモノでない場合も多い。

 上記展でも、3月11日の内覧会で飯山由貴ら一部作家がパレスチナ侵攻への抗議活動を展開して話題になった。西美は歴史的に川崎重工と関係が深く今も提携関係を結んでいる。飯山はマスコミ相手にビラを撒いて、川崎重工のイスラエルとの取引を問題視した。

 これが美術かとSNSでは論争が起きたが、現在の基準では確かに美術作品だ。政治的な意図があっても問題ない。むしろそのようなわかりやすい政治性こそが今の美術の主流だとすら言える。

 とはいえ、そればかりが注目されると、逆に美術的手法の豊かさが見えにくくなるのも確かだろう。その点で紹介したいのが同じく同展に参加している弓指寛治の試みだ。

 弓指は86年生まれの作家。丹念なリサーチと絵画を組み合わせた物語型のインスタレーションで知られる。その彼が今回は山谷のドヤ街と上野のホームレスの問題に挑戦した。

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