オムロンが開発した「卓球ロボット」
オムロンが開発した「卓球ロボット」
「卓球ロボット」は球を打つ場所を卓球台に表示してくれる
「卓球ロボット」は球を打つ場所を卓球台に表示してくれる

 国内外のメーカーが、その技術や新たな製品を発表する展示会「シーテックジャパン」。その15回目となった今回、注目を浴びていたブースのひとつが、オムロンの「卓球ロボット」のブースだ。ロボットの実力を、記者が対戦して取材した。

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 開催初日、人だかりができていたオムロンブース。人々の視線の先にあるのは、卓球台の前に立つ人、そしてその反対側に対峙する3本脚のロボットだ。卓球台の片側に覆いかぶさるようにして立っており、そこからラケットが吊られている。

 これが、オムロンが展示の目玉としている「卓球ロボット」。人が打った球の動きを検知し、ラリーすることが可能だという。ロボットは相手の打球に合わせて動くので、卓球がうまくない人でもラリーを楽しめるという触れ込みだ。

 この日は実際にロボットと対戦ができるとのことで、早速、記者も体験してみることに。実は記者は、サッカー、野球はもちろん、ボーリングや卓球に至るまで、球技は大の苦手……「卓球がうまくない人」でも本当に楽しめるかどうか、検証してみた。

 まず、ロボットと対峙して驚くのはその大きさだ。人の身長をゆうに越えるその高さは2.7メートル。ただ、さほど圧迫感がないのは、3本脚で宙に浮いているような形で、実際の体積としてはそう大きくないためだろう。

 そして次に目を引くのは卓球台。実は今回、革新的なのは、この卓球台に仕掛けがあるという点だ。ロボットが打ち返した球がどのあたりに戻ってくるか、卓球台にその軌道が表示されるのだ。ロボットの返球の直前に、球が来るコースが光るため、こちらはその位置で構えていればOKだという。

 実はロボットと対峙した当初は、サーブすら怪しい感じだった記者だが、何度か繰り返すうちに、ラリーが続くシーンも出てきた。最初は球の行方に気を取られて、とにかく打ち返すことに必死だったのだが、コース表示に合わせて動くことに馴れると、だんだん返球の際の力加減や、コースにも気を回せるようになってきた。わずか20分程度の体験だったが、若干ではあるが成長できたような気がする。そして何より、苦手だったはずの卓球がちょっと楽しくなってきた。

「実は、この卓球ロボットのテーマは『融和』なんです。機械が人の能力を引き出したり、やる気を出させたりすることができれば、という思いで開発しました」

 こう話すのは、オムロンの技術・知財本部に所属する生雲公啓さん。このロボットの開発者でもある。

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