<ライブレポート>10年分の感謝と愛を――TRUEが“アニソン縛り”で届けたアニバーサリー・ライブ

 「今日は10年分の感謝と愛を、みなさんにお伝えしようと思います。どの曲も懐かしみながら、慈しみながら大切に歌うので、どうか最後まで楽しんでください――」

 2月26日にデビュー10周年を迎えたTRUE。彼女の10周年イヤーの幕開けを飾るライブ【TRUE 10th Anniversary Live Sound! vol.8 ~ANISON COLLECTION~】が3月2日、神奈川県民ホールにて開催された。

 自身最大キャパシティ、そして自身初の“全曲アニソン縛り”でのライブ。これまで唐沢美帆として携わってきた作詞曲の貴重なセルフカバーを含めて、アニメ/アニソンとともに歩んできた10年間の軌跡の尊さを届けてくれる一夜だった(本人の公式SNSで披露候補曲の一覧が“まとめ画像”化される例も稀有かと思う)。

 ライブは「UNISONIA」からスタート。1曲目から“三種の神器”のひとつが繰り出されたことに、歓喜と驚き、そして感嘆が入り混じったどよめきを見せる客席。「いいんですか、最初から聴けちゃって?」と、この日のセットリストが桁違いであることを早々に予感させられる。歌い出しでTRUEがステージ上部に姿を現すと、ブラスポップなアレンジのトラックに乗せて、目の前にある階段を軽やかに駆け降りてくる。彼女が左手の人差し指を天に向けるたび、客席のファンが歌詞同様、“羽撃き”、“穿撃いた”……。

 誇張抜きで、イントロのたびに客席が沸いたTRUEのライブ。3曲目のドライブポップ「BUTTERFLY EFFECTOR」で、<生きてるって最高>をあえてメロディから外し、高らかに叫んでいたのは、さしあたり本人のリアルタイムな想いだろう。

 よく、一流のピッチャーは“球筋”が見えるというが、TRUEのパワフルで、しなやかなボーカルには、それに近いものをかなり感じる。声の通りが、光の筋のように見えてくるようなのだ。また前述の通り、この日の披露曲はすべてアニソンだったわけだが、さまざまな作品を背負うTRUEの後ろに、その映像が大きく映し出されていたような錯覚が……。彼女がステージ左右を走り抜けたとき、ふわっと舞うドレスの余韻が、まるで歌の女神=ディーヴァのように見える演出だったのを含めて、アニソンという大きなコンテクストと、これほどまでに身体性ある歌声を兼ね備えた、新たなディーヴァ像を見せつけられた気がした。

 7曲目からは、ファン待望のカバー・セレクションに。可能な限り多くの楽曲を歌唱すべく、ワンハーフ構成で4曲を届けてくれたのだが、その最初が「ケサランパサラン」(every♥ing!)というのは、さすがに“助かり案件”すぎる。こちらは“タオル曲”ながら、会場の誰よりも綺麗にくるくるとタオルを回していたのは、ほかでもないTRUE本人。かつ、先ほどまでとはまったく異なる幼い歌声は、ハツラツで天真爛漫で、まさしくevery♥ing!のそれに寄せた声質だった。いわば、声優的に“声で演技をする”歌唱アプローチには、こうした特別な機会でないとなかなか出会えないものだろう。

 そこから、清涼ポップスな「スタートライン!」(せな・りえ from AIKATSU☆STARS!)、R&B調で色気を纏うフェイクに酔いしれた「眠れる本能」(YURiKA)、歌い出しの時点で、客席から悲鳴に近い歓声が聞こえた「閃光のPRISONER」(南里侑香)につなぐ。「それも歌ってくれるんですか?」と、心のうちでも敬語になってしまう選曲に、何人のファンが過去の思い出を成仏させられたことだろうか。“TRUE総力戦”とは、まさにこのこと。

 とはいえ、直後のMCでは「みんなの聴きたい曲は聴けたのか?」「え、ほとんどの人はもう聴けたの?」「大丈夫。まだの人はたぶん後から歌うから(笑)」と、ライブ後半にも期待をさせてくれた。大人はそう簡単に、切り札を見せてはくれない。

 もはや血圧の数値や大きすぎる振れ幅が心配になったのが、そんな“たぶん後から”の時間。アコースティック・コーナーを挟んで、「フロム」「アンサンブル」の2曲で心温まる時間を過ごすも束の間。衝撃の一言が投下される。「ここからは『マクロスΔ』の世界。愛する人のために、愛する星のために、命を懸けて戦った、フレイアのために歌います」。

 披露されたのは、『劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!!』より全3曲をメドレー形式で。キーボードとバイオリンでじっくりと聴かせた「りんごのうた」(フレイアΔ鈴木みのり)。「ALIVE ~祈りの唄~」(ワルキューレ)では、躍動感あるドラムに重ねて、ギターソロとバイオリンの音色が交わり合う間奏が命の鼓動を確かめているようにも聴こえた。歌い終わりの<――心から愛してる>はアカペラで、啜り泣くようにしゃくらせながら、溜めるように歌い上げていたことも付け加えておきたい。最後はパンチチューン「ワルキューレはあきらめない」(ワルキューレ)で、TRUEも声帯大開放。『マクロスΔ』を知っているファンからすれば、もう書き記すまでもないだろう。大歓声が轟いたことは。

 13曲目「ブルーデイズ」は、この日の“とっておき”として、フルサイズ歌唱を温めていた新曲。タイトル同様、ブルーのトップスとブラックのフレアスカートで装い新たに、疾走感と、どこかプログレッシブな印象もあるトラックで、本当に優しい表情を見せてくれる。それもそのはず。同楽曲がオープニング主題歌に起用される、4月放送のTVアニメ『転生貴族、鑑定スキルで成り上がる』を、TRUE自身が愛してやまないから。

 歌唱後のMCでも「ホント、めちゃめちゃ面白いの。ものすごく面白くて」と切り出すと、「もうあまりに面白すぎて、寝ないで一気見したんだけど、もうね、ホントにめちゃめちゃ面白いの。なんか安易な感じがしちゃうんだけど、“鑑定スキル”に出会って、私ってね、すごく悩み事が多い人間なの、こう見えて……(割愛)」「でもさ、私って人間好きだなって、人が好きなんだなって“鑑定スキル”を読んで思ったの」「なにが言いたいかって言うと、めちゃめちゃ面白いので!」と、最後が“天丼”な笑いになるほど、バイブスに任せた早口が止まらない。実際のところ、上記の抜粋部分のあと3倍は語ってくれたくらいだ。

 またしても血圧の話になってしまうのだが、ライブ終盤に向けて「ここからは情緒が壊れるお時間でございます」「神奈川県の治安を少し悪くしようと」と、抑揚を落としたAIかのような声で予告が。この日の会場が横浜ということで、令和の“ハマの大怪獣”さながらに放った「Storyteller」は、先ほどまで「ブルーデイズ」が披露されていたのとは同じ“現場”とは思えぬほど、客席から鳴り響くクラップのデカさが桁違いに。<そうやって 願いは 何十億の物語へ 続いていくのだろう>という歌詞は、TRUE本人を言い表したかのようなパンチラインで、オチサビに入る直前には、直井弦太(Dr.)がブチ上がり、文字通りに椅子から立ち上がったほど。ほとんどサイリウムを振るファンと同じ体制になっていた。

 さらに「飛竜の騎士」「Divine Spell」と、アニソンの気持ちいい部分だけを凝縮したセットリストで畳み掛ける。この記事の冒頭に「さまざまな作品を背負うTRUEの後ろに……」などと難しいことを書いていたが、そんなことはもはや考える頭もない。ただただ、ブチ上がらないほうがTRUEに失礼である。極め付けは、TVアニメ『響け!ユーフォニアム2』オープニング主題歌「サウンドスケープ」。ヒールブーツを履きながらも、サビの直前では上手と下手のお立ち台で一度ずつ、両膝を思いっきりに曲げた大ジャンプを披露し、“ユーフォ”の色である黄色一色の空間に応えた。

 「10年……。振り返ると、本当にいろいろなことがあったなって思います。いいことも、悪いことも、うれしいことも、悲しいことも。本当にこの10年、たくさんあって。でも、その一つひとつをちゃんと全部受け入れて、そして止まることなく、逃げることなく、離すことなく、全部を音楽に変えてきた。そんな10年間でした。あらためて、私の言葉に耳を傾けてくれて、私の歌に心を預けてくれて、本当にどうもありがとうございます」

 そんなMCを受けて、本編最後に披露した楽曲が「Sincerely」。TVアニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』オープニング主題歌である。この作品名を読み上げただけで、もしかすると涙してしまう読者もいるかもしれない。そのくらい作品との結びつきが強い楽曲だ。これだけは、この位置でしか披露できない。そう思わされるほど、TRUEの10年間の想いすべてを象徴していたし、純白のスポットライトに当てられる彼女の姿が瞳に映ると同時に、すべての出会いが綺麗に見えてくる。彼女がステージを去っても、しばらくはアンコールをするのが躊躇われたくらい、その余韻に浸っていたいと感じてしまったのは、筆者だけではなかったと思いたい。

 アンコールは、カラフルポップな「Happy encount」から。TVアニメ『響け!ユーフォニアム3』オープニング主題歌として、“そして、次の曲が始まるのです”を体現した新曲「ReCoda」は、もはやTRUEの“一人ウィンドオーケストラ”状態に。さらに、特大ホームランを打ったような爽快さで、会場一体で合唱した“感謝のDREAM SOLISTER”まで、ハイライトは選びきれない。

 またMCでは、クリエイターチーム・Arte Refactと、「UNISONIA」「飛竜の騎士」「Divine Spell」に続く“四種目の神器”を制作中だと明かされたほか、今年7月より東京・大阪に跨る6年ぶりのツアー【TRUE 10th Anniversary Live Tour Sound! vol.9 ~TRUE × FALSE~】を開催することも明らかに。

 日程と会場は、神奈川公演が7月9日にビルボードライブ横浜と、翌10日にF.A.D YOKOHAMAで。大阪公演は、10月11日にOSAKA MUSEと、翌12日にビルボードライブ大阪を予定している。この企画で驚くべきは、2日連続の公演でアレンジを変えながら、まったく同じセットリストを用意しているというところ。たとえば、前述の「DREAM SOLISTER」など、アコースティックでの仕上がりがなかなか想像しづらいところ。楽曲選びにも、なかなかのバランス感覚が求められるはずである。可能な限り、両公演を比較する意味でも、両日参加をしてみてもらいたい。

 10周年イヤーの幕開けとして、これ以上ない最高のスタートを切った今回のライブ。「10周年も、そしてその先も。私らしく、まっすぐに音楽と向き合いながら歩んでいくので、これからも応援、よろしくお願いいたします――」。TRUEは最後に、力強くそう語っていた。いま、この瞬間でいえば、彼女以上に“まっすぐ”という言葉が似合うシンガーもそう多くはいないだろう。もし仮にいるのなら、急いで教えてほしい。そのときはお返しとして、『鑑定スキル』愛を爆発させたTRUEばりに、この日のライブの感想をつぶさに語りまくるので。

Text:一条皓太
Photo:江藤はんな


◎公演情報
【TRUE 10th Anniversary Live Sound! vol.8 ~ANISON COLLECTION~】
2024年3月2日(土)神奈川県民ホール
<セットリスト>
1. UNISONIA(TVアニメ『バディ・コンプレックス』OPテーマ)
2. TWIN BIRD(TVアニメ『バディ・コンプレックス 完結編―あの空に還る未来で―』挿入歌)
3. BUTTERFLY EFFECTOR(TVアニメ『ひなろじ~from Luck & Logic~』OP主題歌)
4. ailes(TVアニメ『純潔のマリア』ED主題歌)
5. Story of Lucifer(TVアニメ『コメット・ルシファー』 イメージソング)
6. 黎明(TVアニメ『転生したらスライムだった件 第2期』前奏曲)
7-a. ケサランパサラン/every♥ing!(セルフカバー)(TVアニメ『レーカン!』エンディングテーマ)
7-b. スタートライン!/せな・りえ from AIKATSU☆STARS!(セルフカバー)(TVアニメ『アイカツスターズ!』オープニングテーマ)
8-a. 眠れる本能/YURiKA(セルフカバー)(TVアニメ『BEASTARS』エンディングテーマ)
8-b. 閃光のPRISONER/南里侑香(セルフカバー)(TVアニメ『魔法戦争』オープニングテーマ)
9. フロム(TVアニメ『終末なにしてますか?忙しいですか?救ってもらっていいですか?』エンディングテーマ)
10. アンサンブル(『特別編 響け!ユーフォニアム~アンサンブルコンテスト~』主題歌)
11-a. りんごのうた/フレイアΔ鈴木みのり(セルフカバー)(『劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!!』挿入歌)
11-b. ALIVE ~祈りの唄~/ワルキューレ(セルフカバー)(『劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!!』挿入歌)
11-c. ワルキューレはあきらめない/ワルキューレ(セルフカバー)(『劇場版マクロスΔ 絶対LIVE!!!!!!』挿入歌)
12. Another colony(Band Inst ver.)(TVアニメ『転生したらスライムだった件』エンディング主題歌)
13. ブルーデイズ(新曲)(TVアニメ『転生貴族、鑑定スキルで成り上がる』OP主題歌)
14. Storyteller r(TVアニメ『転生したらスライムだった件 第2期』オープニング主題歌)
15. 飛竜の騎士(TVアニメ『最弱無敗の神装機竜』OP主題歌)
16. Divine Spell(TVアニメ『レガリア The Three Sacred Stars』OP主題歌)
17. サウンドスケープ(TVアニメ『響け!ユーフォニアム2』OP主題歌)
18. Sincerely(TVアニメ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』OP主題歌)
-En.-
19. Happy encount(TVアニメ『リアデイルの大地にて』OPテーマ)
20. ReCoda(新曲)(TVアニメ『響け!ユーフォニアム3』OP主題歌)
21. DREAM SOLISTER(TVアニメ『響け!ユーフォニアム』OP主題歌)

◎公演情報
【TRUE 10th Anniversary Live Tour Sound! vol.9 ~TRUE × FALSE~】
<TRUE side>
2024年7月9日(火)ビルボードライブ横浜
1stステージ 開場17:00 / 開演18:00
2ndステージ 開場20:00 / 開演21:00
2024年10月12日(土)ビルボードライブ大阪
1stステージ 開場15:00 開演16:00
2ndステージ 開場18:00 開演19:00
<FALSE side>
2024年7月10日(水)神奈川・F.A.D YOKOHAMA
開場18:30 開演19:00
2024年10月11日(金)大阪・OSAKA MUSE
開場18:30 / 開演19:00