共同親権とは、「子を両親共に養育する権利」ではなく、子に関わる決め事(引っ越しや進学など)に同居親ではない親の承認が必要になる、ということである。DVが原因で離婚した女性たちにとっては、加害者と関わり続けなければいけない生存の危機なのだ。だからこそ女性たちは抵抗し、悲惨な離婚や悲惨な面会交流を目の当たりにしてきた女性弁護士たちが、その声に寄り添い続けた。
それなのに、この国の首相は国際女性デーの日、自民党のセクシーダンサーとの懇親会が報道された日に、女性たちの声を無視する閣議決定をした。女性差別を絶対に撤廃する意思を表明することなく、多様性を目指す日のように語った。男親の「子に関わりたい」気持ちは聞かれるが、女親の「怖い」という恐怖は聞かれない。差別が隠蔽され、女性の声が消されていくのを見ているようだ。
政治家たちが使う「多様性」という耳に心地よい言葉のもとに、塞がれている声は誰のものなのか。この国のあまりの男尊女卑ぶりに、毎年のことながら言葉を失う思いになる2024年の国際女性デーである。