時計を見ると午前2時48分。金庫の中を確かめると、現金はなく、入れてあった預金通帳は残っていた。現金数万円が取られたが、不幸中の幸いで、妻ともにけがはなかった。
事件から約半年後の7月、茨城県警はいずれも19歳の無職の男3人を強盗致傷と住居侵入の疑いで逮捕した。
男性の自宅は2階建てのごく一般的な一軒家だ。周囲は畑で住宅はまばら。
男性は、
「うちは資産家というわけではありません。私も一般的な勤め人でしたし、狙われる理由がわかりません。T字路の角で逃げやすい家に見えたからか……」
ただ、気になることと言えば、事件が起きる数日前から、若い男女が乗る見慣れない車両が何度も家の前を通っていたことだ。事件後は一切見なくなったという。
なぜ狙われたかについては「心当たりがない」と繰り返した。
栃木県足利市でも昨年1月に強盗事件が発生した。50代の男性が被害に遭い、現金300万円などが奪われた。
被害男性の関係者は事件の詳細をこう語る。
「実はね、その日だけ大金が置いてあったの。冠婚葬祭の支払いがあったから。だから犯人は家に大金が置いてあったことを知っていたのでは」
2022年10月~23年1月に連続強盗事件が全国で起きた。警視庁の発表によれば、指示役は「ルフィ」「キム」などと名乗り、SNS上などで闇バイトとして実行役を募り、強盗や窃盗、詐欺などの指示をしていた。
強盗事件は悪質で、栃木や埼玉、広島、山口など14都道府県で確認されているほか、1月に東京都狛江市で起きた強盗事件では90歳の女性が実行犯によって殺害されている。
こうした闇バイトに手を染めるのは、元々の“ワル”だけではない。
高校生が闇バイトで
「まさか闇バイトとは思わなかったんです」
そう話すのは、闇バイトに応募し、強盗の現場に行ったという18歳の男性だ。
2022年夏ごろ、ツイッター(現、X)で「#即日日払い #高額」で検索し、募集先に何の疑いもなく気軽に連絡した。相手からは秘匿性の高い通信手段のテレグラムでやりとりするよう伝えられた。