先日、猫は276種類もの表情を持っているという研究が発表された。人や犬より多く、さらに友好的なものが多いという。猫の心の機微、最新ニャイエンスの世界をのぞいてみませんか。
猫はクールでポーカーフェイス?
猫といえば、犬に比べてクールで気ままなポーカーフェイス。そんなイメージを持つ人も多いかもしれない。だが、ご存じだろうか、猫の顔は万華鏡だ。犬よりずっと多い、なんと276種類もの表情があったのだ。
そんな驚きの発見をしたのは、リヨン・カレッジで心理学の助教授を務めるブリタニー・フローキウィクス博士と、猫好きの学生ローレン・スコットさん。2021〜22年、UCLAの学生だったローレンさんと、当時同大学で博士号のための勉強をしていたブリタニーさんは、大学近くの猫カフェで、猫同士が交流する様子をビデオ録画し、表情を分析した。その結果出てきたのが、前述の数字だ。まだ研究の余地があるとはいえ、人間の44、犬の27に比べると、格段に多い。「私にとってもそれは意外でした」とブリタニーさん。
276の表情のうち、46%は友好的
「猫は『孤独好き』のイメージもありますが、多頭飼いの家もあるし、研究すれば、親和的、あるいはその逆の表情は判明するとは思っていました。ここまで多いとは思いませんでしたね。私は過去にチンパンジーやテナガザルでも同じ研究をしていますが、チンパンジーは350、テナガザルは80。猫のほうがチンパンジーに近いのです」
276の表情のうち、46%は友好的、37%は非友好的と、友好的なほうが多いこともわかった。これも予想外の結果だ。
「過去に発表された研究では猫の表情表現は主に〝攻撃のため〟とされていましたが、そうではないということ。もちろん、攻撃的な表情もありますが、遊んでいるとき、一緒にくつろいでいるときなど、さまざまな相手と〝社交する〟表情のほうが多いのです」