<ライブレポート>竹内アンナ、初のビルボードライブ・ツアーが開幕

 シンガー・ソングライターの竹内アンナが3月1日にビルボードライブ東京にて、キャリア初となるビルボードライブ・ツアー【竹内アンナ Billboard Live Tour 2024】の初日公演を行った。

 開演前にグッズ売り場を覗くと、本人が監修し、こだわりの詰まったオリジナルグッズが並んでおり、ツアーTシャツの前面には<special>という文字が5つ並んでいた。どうして、<special>を5回も繰り返して強調したのか。それは、おそらく、本ツアーでステージ立つプレイヤーの人数かと想像したのだが、竹内はライブのMCで何度も「とってもスペシャルな時間」と繰り返していたので、ライブを見ながら別の意味も考えてみた。

 1つ目の<special>はビルボードライブという空間にあるだろう。ライブハウスやホールはもちろん、カフェやアートスペース、教会など、様々な場所でライブを行ってきた彼女だが、ビルボードライブはデビュー前の10代の頃から数多くの海外アーティスト公演に足を運んでおり、「いつか私もあのステージで歌いたい」と夢見ていた特別な場所だったという。昨年の8月にメジャーデビュー5周年を迎え、アニバーサリーイヤー真っ只中の2024年にキャリア初となるビルボードライブ・ツアーが実現できたことは、彼女にとって<special>であることは間違い無いだろう。

 2つ目は、全3箇所6公演で共にステージに立つバンドメンバーだ。ジャズやネオソウルをルーツとするバンド、パジャマで海なんかいかない(以下、パジャ海)のBessho(Key)、Seiya(Ds)、Haruna(Ba)、Chloe(Cho)の4人を迎えた編成で、5th EP『at FIVE』に収録された「生活 feat.パジャマで海なんかいかない」の生演奏と体感できるだけでも<special>であり、原曲よりもさらにスピリチュアルジャズ度が増したフリーキーなインタープレイを展開されており、フロアの熱気が高まり、興奮に包まれていた。さらに、竹内がパジャ海のライブにゲスト参加した際に実現したデュオも再現。Besshoの生ピアノによるバラード「TEL me」では、竹内の甘く切ない歌声の響きをたっぷりと味わうことができ、パジャ海のオリジナル「Let Me Know」では、ピアノトリオに竹内とChloeのツインヴォーカルで観客の体を心地よく揺らし、客席からは掲げた手を左右に振るワイパーも起こっていた。

 3月8日にビルボードライブ大阪、3月20日にビルボードライブ横浜公演を控えているので詳細な内容は触れずにおくつもりだったが、本人がMCでも語っていた通り、ほぼ全ての楽曲に新しく大胆なアレンジが施されているため、事前に過去の楽曲を聴き込んだ上でも十分に驚きと楽しさを感じさせてくれるステージになっていた。これが3つ目の<special>だ。2020年3月リリースの1stアルバム『MATOSUTIC』に収録されていた曲を挙げてみると、「20 -TWENTY-」はChloeのハーモニーによって独特な浮遊感が与えられ、「RIDE ON WEEKEND」にはジャズサンバの風が吹いていた。さらに、ライブではお馴染みのナンバー「Free! Free! Free!」ではHarunaのベースにスポットが当たり、Besshoは速いパッセージのピアノソロを繰り出し、ライブのクライマックスと言っていいほど大きなクラップが鳴り響いた「I My Me Myself」では熱のこもったソロ回しが展開された。特に驚いたのは、Seiyaのドラミングから始まる「WILD & FREE」で、どこに連れて行かれるのかわからないミステリーツアーや、先の見えない障害物競走に参加しているかのような変化に満ち溢れた演奏となっていた。ガットギターを弾きながらラップを繰り出す竹内を含めて、全員が全く違う演奏をしているのにグルーブは見事に1つにまとまっており、観客からは唸り声と共に盛大な拍手が送られた。最後のBesshoのピアノにはジンタのような響きがあったが、ステージごとに異なるプレイをする彼らなので、それはこの日、この時だけのものかもしれない。

 そして、ライブの中盤には、最終日となるビルボードライブ横浜公演の当日である3月20日にリリースされる3rdフルアルバム『DRAMAS』に収録される新曲が披露された。竹内は「“なんてことない一瞬も切り取ればドラマになる”をテーマに掲げて、全部で12篇のドラマを収録しました。早くみんなに聴いてもらいたい気持ちでいっぱいです」と語り、「全ての二人に祝福の気持ちを込めて書いた」というラテンやトラップのビートがフィーチャーされたポップなラブソング「最幸の二人」とゲームアプリの主題歌として配信されているファンキーなR&B「BREAK MY CASE」をできるだけ原曲に近い形でパフォーマンスしたが、リリース前に一足早くライブで聴ける、4つめの<special>となっていた。

 ここまで4つの<special>をあげてきたが、果たして、5つ目の<special>はどこにあるのか。アンコールに選ばれた曲にドラマを感じる人もいるだろうし、パジャ海によるオープニングとエンディングの余韻たっぷりの演奏、もしくは、竹内のなんと12弦のアコギやエレキの弾きっぷりに特別な響きを感じる人もいるだろう。はたまた、竹内考案のオリジナル・カクテルかもしれない。どの曲のどんな場面にスペシャルなドラマを感じるのか。ぜひ、3月8日ビルボードライブ大阪、3月20日ビルボードライブ横浜に足を運んで見つけてみて欲しい。


Text : 永堀アツオ
Photo:Kazushi Hamano

◎公演情報
【竹内アンナ Billboard Live Tour 2024】
2024年3月1日(金)東京・ビルボードライブ東京 ※終了

2024年3月8日(金)大阪・ビルボードライブ大阪
1stステージ 開場17:00 開演18:00
2ndステージ 開場20:00 開演21:00

2024/3/20(水・祝)神奈川・ビルボードライブ横浜
1stステージ 開場15:30 開演16:30
2ndステージ 開場18:30 開演19:30

<出演者>
竹内アンナ(Vo, Gt)

パジャマで海なんかいかない
Bessho(Key)
Chloe(Cho)
Haruna(Ba)
Seiya(Dr)

サービスエリア 6,500円
カジュアルエリア 6,000円(1ドリンク付)