昨年10月に東京ビッグサイトで開催された「第2回 Femtech Tokyo」の様子。3日間で計1万1395人が来場した(写真:Femtech Tokyo事務局提供)

「本展をきっかけにまずはフェムテック・フェムケアを手に取ってみて頂きたい。そのことで、日々健やかに自分らしく過ごせる選択肢が増やせたら、こんなにうれしいことはないですよね」(下田さん)

 女性の健康は、女性ホルモンと切り離せない。思春期、性成熟期、更年期、老年期と女性ホルモンの分泌量は変動し、ライフステージごとに健康課題が生じる。人によっては学業や仕事、日常生活に支障をきたし、やりたいことを諦めざるを得ないケースも珍しくない。女性の社会進出に伴い、女性特有の健康課題をどう解決するかに注目が集まってきた。

 月経痛がひどく、中学高校時代、通学電車を途中下車してトイレで吐いたり、駅員室で休ませてもらったりしたことが幾度となくある──。こう話すのは「藤沢 女性のクリニックもんま」の門間美佳院長だ。

「月経痛をなくす夢のような薬をいつか発明したいと考えていました。その“夢のような薬”が今あるのです。安全で、保険診療で処方できる。保健室で先生に勧められたと、受診してくる中高生もたくさんいます」(門間院長)

 一方で、“ママブロック”もある。つまり親の反対。その背景にあるのは、更新されないままの古い認識だ。

 思春期、性成熟期によく見られる女性特有の病気が、月経困難症と子宮内膜症。これらの治療薬が超低用量ピルだ。ピルは、エストロゲン、プロゲステロンという2種類の女性ホルモンが主成分。エストロゲンは長期間・大量使用で、血液が固まり血流が阻害される血栓症のリスクを高めるので、エストロゲンの量を減らした低用量ピル、そして“超”低用量ピルが開発されてきた。エストロゲンを含まない、プロゲステロンのみの薬も発売されている。

「親に取り上げられた」

 しかし、認識が古いままの親にとっては「ピル=怖い薬」。またピルは避妊薬としても使われるからか、「ウチの子には必要ない」。「この薬を飲むと死ぬと親に言われた」「親に取り上げられた」と泣きながら訴える中高生もいるという。

「そもそも現代女性は月経回数が多すぎる。昔の生涯月経回数50回に対し、現代は450回とするリポートもあります。月経回数の多さは子宮内膜症と深く関係しています。妊娠を希望しない時期には、超低用量ピルなどで排卵を抑えたり、月経回数を減らすことが、現代女性に必要」(門間院長)

 なお超低用量ピルは海外では避妊薬として使われているが、日本では避妊の適応はない。(ライター・羽根田真智)

AERA 2024年3月11日号より抜粋

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