山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師
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 日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は「花粉症」について、鉄医会ナビタスクリニック内科医・NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。

【図】花粉を体内に取り込まないためにはどうしたらいい?

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 日本では、スギ花粉の飛散量がピークを迎えていますね。日本気象協会による全国の週間花粉飛散予測を見ると、飛散量の「非常に多い」日が続いており、その予測を見るだけで、目がしょぼしょぼ、鼻がむずむずしてしまいそうです。

 日本国民の約4割(※1)は罹患しているとも言われているスギ花粉。もはや、国民病といっても過言ではありません。

 花粉症環境保健マニュアル2022(※2)に引用された、全国の耳鼻咽喉科医とその家族を対象とした鼻アレルギーの全国調査によると、2019年の花粉症の有病率は42.5%。1998年と2008年に実施された同様の調査で、1998年の花粉症の有病率は19.6%, 2008年は29.8%であったことから、花粉症の有病率は増加していることがわかります。

 また、今年の2月9日に公開された、ロート製薬株式会社(※3)が0歳から16歳の子どもがいる7131人を対象にアンケート調査を行った結果によると、自分の子どもが「花粉症と診断された」または「花粉症だと思う」と答えた親は42.6%であったといい、これは10年前に行った同様の調査結果の32.7%と比べて、9.9%も増えていたことがわかったといいます。

 さらに、このアンケート調査から、発症した年齢の平均は、小学校入学前の平均5.8歳だったこと、小学生の症状の最多は「鼻水(85.5%)」で、ついで「目のかゆみ(67.1%)」であったこと、「授業などの勉強に集中できない」と答えた子どもは全体の約4人に1人にあたる24.9%もいたことがわかり、過半数の53.9%が日常生活で何らかの花粉症の影響があると答えていたこともわかったといいます。

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花粉症は完治したと思い込んでいた