佐久間香織さん(右)と小笠原隼人さん(撮影/楠本涼)

夫 小笠原隼人[39]エフライフ 代表取締役社長

おがさわら・はやと◆1984年生まれ、埼玉県出身。一橋大学商学部卒業後、葬儀サポートの仕事に就く。チャイルドラインこおりやま、ふくしまチャレンジはじめっぺの立ち上げ・事務局長を経て、17年に現在の会社を設立。食を中心に福島の魅力発信に関わる事業を幅広く行う

2012年に福島に移住し、人の思いや地域の魅力を伝える取り組みを続けて、今の会社を作りました。結婚が決まって起業したのは、この人と一緒だったら何とでもなるという安心感が生まれたのもあります。妻はアイデア拡散型の僕を面白がって受け入れ、一緒に形にしてくれる人。香織でなかったら私の考え方や生き方はなかなか理解されなかったのではと思います。

 福島は僕が仕事をする上でも大事な場所です。僕自身、母の突然の死で自分にとって大切なものは何かをすごく考えた時期があります。大切なものっていつなくなるかわからない。震災でそれを経験した地であり、だからこそ大切なものを大切にして生きていく思いを、ここから発信する意味があると思います。

 食卓を囲む豊かさもその一つ。うまくいかないことがある日も一緒にご飯を食べる時は楽しいし、ベースに感謝があればこれからも何とかなるだろうと、香織との日々で感じます。出会ってもらえてほんっとにありがたいです。

(構成・桝郷春美)

AERA 2024年3月4日号

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