<ライブレポート>SennaRin、歌への真摯な姿勢を提示した【3rd ONE MAN LIVE "Land of NOD"】

 新曲「NOD」(フジテレビ金9ドラマ「院内警察」オープニングテーマ)をリリースしたばかりのSennaRinが2月17日、3度目のワンマンライブ【SennaRin 3rd ONE MAN LIVE "Land of NOD"】を東京・大手町三井ホールで開催した。

 澤野弘之によるプロデュースで2022年4月にメジャーデビュー。「最果て」(TVアニメ「BLEACH 千年血戦篇」エンディングテーマ)、「S9aiR」(TVアニメ「僕らの雨いろプロトコル」オープニングテーマ)などで注目を集めてきた。新曲「NOO」を引っ提げた今回のライブで彼女は、シンガーとしての奥深い資質、歌に対する真摯な姿勢をしっかりと提示してみせた。

 エキゾチックなSEが流れるなか、バンドメンバーに続いてステージに登場したSennaRinは、一瞬のブレスの後、「眩しすぎるあの光/あの人を照らさないでいて」というフレーズを響かせる。1曲目は、すべてアカペラで披露された「melt」のショートバージョン。歌の力だけで観客を強く惹きつけ、「Land of NOD」とタイトルをコールから「NOD」へ。疾走感に溢れたサウンド、しなやかなメロディラインによって、圧倒的な高揚感を生み出した。言葉の響きの良さと神話的世界観を融合させた歌詞も気持ちいい。さらにアッパーチューン「S9aiR」ではステージの端から端まで移動し、オーディエンスと目を合わせながら積極的にコミュニケーションを取る。昨年は海外のイベントにも数多く出演した彼女。その経験はライブパフォーマーとしての進化に結び付いているようだ。

 「このライブがみなさんが普段感じている、悲しさとか虚しさとか悔しさとか、いろんな感情の逃げ道になればなと思っています」。このライブに対する思いを端的に話した後、「time」(SawanoHiroyuki[nZk]:ReoNa)をカバー。鋭利でダンサブルなサウンド、〈素敵な方へ/そう気付けば色付いていく〉という前向きなリリックが共鳴する「Limit-tension」では観客のハンドクラップが起こり、ナチュラルな一体感が出現。囁くような歌い出し、ダイナミックなサビの表現が印象的な「mist」では憂いを帯びた世界観を描き出すなど、シンガーとしての幅広さをアピールしてみせた。

 「『Limit-tension』(≒“限りある時間”)もそうですけど、言葉を組み合わせて歌詞を書いていて。去年、ライブに行ったColdplayさんに“Ever”(永遠、絶えず)と“glow”(輝き)を組み合わせた曲があるのですが、“輝いていたい”という願いを込めて弾き語りでカバーさせていただこうと思います」と「Everglow」をアコギの弾き語りでカバー。チェロ、エレピの音色も加わり、シックな雰囲気が広がった。さらに「Chandelier」(Sia)も披露。彼女自身の音楽的志向が垣間見えるシーンだった。

 そのままアコースティックスタイルで「Call me later 」(サウンドトラック「青の祓魔師Plugless」)、「Call of Silence」(TVアニメ「進撃の巨人 Season2」)などをカバー。ライブが進むにつれて歌のダイナミズムが増し、楽曲の世界観が立体的に浮かび上がる。弦楽器との相性も良く、“オーケストラをバックにしても似合うだろうな”と想像してしまった。

 4つ打ちのビートと開放的なボーカルによって会場のテンションがさらに上がった「IVORY TOWER(feat.SennnaRin)」(澤野弘之)からライブは後半へ。真っ赤な照明とヘビィロック系のサウンドが鮮烈なインパクトを残した「βios」(TVアニメ「ギルティクラウン」挿入歌)、ファンタスティックな音像が広がる「透明な惑星」、ポップに輝くサウンドのなかで〈毎秒惜しいのさ our youth/このままじゃいられない〉というラインを放つ「BEEP」と多彩な楽曲を連ねていく。楽曲によって歌の表情を大きく変化させながら、シリアスな精神性と豊かな広がりを持つ音楽性をダイレクトに伝える。これこそがSennaRinのライブの本質なのだろう。

 「死ぬまで歌い続けていくんだ、という覚悟と決意を歌った曲です」と紹介されたのは、新曲「TO THE END」。ヘビィロック、ヒップホップの要素を取り入れたアレンジ、歌に対するあまりにも強い思いが一つになったこの曲は、ライブという場所でさらに凄みを増していた。どんな現実があったとしても、〈果ての果てのその先へ〉進む意思を刻んだ「最果て」を力強く歌い上げた後、彼女は改めて観客に語り掛けた。

 「『TO THE END』の歌詞にもあるように、サンプリング、ドーピングも取り込んで、ここからみなさんと一緒に音楽を楽しみたい、ずっと続けたいと思っています。今年はアルバムをみなさんにお届けできるので、すごくうれしいです」「澤野さんと一緒にすごく楽しく制作を続けています。だけど反対に、悔しい、悲しいと思うこともあります。でも、聴いてくださるみなさんがいるから、がんばろうと思えます」

 そんな言葉とともに披露された最後の曲は「証」。身を削るように音楽を生み出し、誰かを護ることができたら、それが自分自身の存在証明になる――そんな思いを刻んだこの曲はSennaRinの根源的なモチベーションにつながっている。ひとつひとつの言葉を手渡すようなボーカルも強く心に残った。

 2024年5月15日には1stアルバムの『ADRENA』のリリースが決定。「最果て」「S9aiR」「NOD」のほか新曲を含む全15曲を収録した本作について彼女は、ステージ上で「澤野さんと一緒に試行錯誤しながら制作していきました。自分のなかの毒みたいなものも歌詞として吐き出した曲もあります。1曲1曲がみなさんが生きていくうえで薬や麻酔、ときにはスパイスになればいいなと思っています」と語った。SennaRinの音楽的な飛躍を証明すると同時に、記念すべき1stライブへの期待値がさらに高まる意義深い3rdワンマンだったと思う。

Text:森朋之
Photo:西槙太一

◎公演情報
【SennaRin 3rd ONE MAN LIVE "Land of NOD"】
2024年2月17日(土) 東京・大手町三井ホール