東京都内で開業するこの医師は「診療拒否」をしたというクチコミを書かれたが、守秘義務があるため、公の場であるグーグルレビューでは反論することはできないという=米倉昭仁撮影

改善しないプラットホームを国も問題視

 訴訟代理人の中澤佑一弁護士によると、訴訟における法律的なハードルは高く、厳しい戦いが予想されるという。

「違法な書き込みによって誰かの何らかの権利が侵害されたとしても、運営サイトについては一応免責が法律で認められていますから」

 グーグルが提供するマップやレビューは社会インフラともなっているが、そこに多数の誹謗中傷が書き込まれていることは政府も把握している。

 総務省が2018年に立ち上げた有識者会議「プラットフォームサービスに関する研究会」の調査によると、グーグルは日本国内に投稿の削除要請に対応する部署や責任者を置いていない。

 これまで政府は誹謗中傷への対応を事業者に任せてきたが、1月31日に公表された「第三次とりまとめ(案)」では、改善が一部にとどまっている状況をふまえて法規制の必要性を求める内容になっている。

 原告の医師は言う。

「医療機関だけでなく、多くの事業者が登録されているグーグルマップやレビューだからこそ、この状況を少しでも改善してほしい。そのための裁判です」

 原告側が指摘する不適切なクチコミへの対応の遅れなどについて、編集部はグーグルに質問をしたが、期日までにグーグルからの返答はなかった。

(AERA dot.編集部・米倉昭仁)