「コンビニ百里の道をゆく」は、54歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
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食品についている「賞味期限」。皆さんもある程度は気にされると思います。
しかし一方で、17歳以下の子どもたちのおよそ9人に1人が「貧困状態」にあるとされるこの日本で、賞味期限切れで廃棄される「食品ロス」は大きな問題です。
困難な状況は子どもたちに食べ物を供給する側にもおよんでいます。昨今の物価高騰により食材の仕入れコストが上昇し、学校給食や学生食堂の事業者の方々への負担が増え、事業運営が非常に難しくなってきているのです。
ローソンでは、この食品ロス削減と、学校給食や学生食堂の事業者の方々の支援を目的に「賞味期限が近付いているフライドフーズなどの食品を無償提供する取り組み」を始めました。
食品ロスを生むことなく、本当に必要とされているところに循環できるようにすれば、持続可能な社会に貢献できるのではないか。そんな思いがあったからです。
まずは1月22日より、大阪大学の学生食堂への無償提供から始めました。キャンパス内にすでにローソンを出店しているという、ご縁で実現したものです。
同大学の生活協同組合が運営する学食に、フライドフーズ「ソースinLチキ 餃子味」1200食(これに関しては賞味期限は今年の7月)を無償提供しています。
あわせて、事業運営に苦慮されている全国の学校給食や学生食堂の運営者の方々を対象に、「ソースinLチキ 餃子味」1万2千食の無償提供先の一般募集も行い、10の事業者(大阪大学を除く)に1200食ずつ、無償提供することも決まりました。
私たちの今回の活動を見てその趣旨に賛同した食品事業の関係者や他社の皆さんなどとも連携する形で、食品ロスを防ぐ無償提供の輪が広がる。そんな流れにつながればいいなと考えています。
◎竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
※AERA 2024年2月26日号