CMの制作発表で一堂に会した、ザ・ドリフターズのメンバー。左から高木ブー、仲本工事、加藤茶、志村けん
CMの制作発表で一堂に会した、ザ・ドリフターズのメンバー。左から高木ブー、仲本工事、加藤茶、志村けん
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ザ・ドリフターズ結成60周年 ドリフ大爆笑 国民が選ぶベストコント60」(フジテレビ系12日午後7時)が放送される。放送されたコント約3480作品の中から番組スタッフが60作品を選び、さらに国民投票で「日本中から愛されたベストコント」を決める。日本中を魅了したドリフのすごさとは何だったのか、過去の記事から振り返る。(「AERA dot.」2022年1月1日配信の記事を再編集しました。年齢、内容などは当時のものです)

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  2020年3月に志村けんさんが亡くなってから、テレビでは彼やザ・ドリフターズに関する特番がたびたび放送されてきた。そのほとんどは、過去に放送された彼らのコントの映像を中心にして構成されていた。

 そんな中で、一風変わった切り口のドリフ番組がオンエアされて話題を呼んでいた。2021年12月27日放送の『志村けんとドリフの大爆笑物語』(フジテレビ)である。この番組では志村けんという芸人の半生がドラマという形で描かれている。俳優がドリフのメンバーを演じて、彼らが長年にわたって日本中を熱狂させたコントを作ってきた舞台裏が明かされている。

 ただ、この番組が変わっているのは、ドラマの中に独立した形でコントのシーンが数多く用意されているところだ。そこでは、ヒゲダンス、東村山音頭、変なおじさんなど、志村やドリフの名作コントが忠実に再現されている。

 演じているのはドリフ役の俳優だが、それ以外の衣装、セット、カメラアングルなどはすべて本物そっくりに精巧に作り込まれている。さらに、テレビコントには付き物の「笑い声の効果音」まで加えられている。

 漫画作品などが実写化されるときに、原作のファンから「思っていたのと違う」などと批判を受けることがある。このような批判が起きる背景にあるのは、そもそも漫画という「紙媒体」とドラマ・映画という「映像媒体」が全く性質の異なるものだからだ。

 その点、今回の『志村けんとドリフの大爆笑物語』のコントパートが斬新だったのは、テレビ番組の中で「テレビコント」の再現をしていたということだ。媒体そのものが同じなのだから、作り手の努力次第で限りなく本物に寄せることができる。

 脚本・演出を務めた福田雄一はコメディ系の作品を数多く手がけており、『となりのシムラ』(NHK)では志村本人と仕事をした経験もある。そんな彼が、思い入れたっぷりにドリフのコントの世界を精巧に再現していた。

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ラリー遠田

ラリー遠田

ラリー遠田(らりー・とおだ)/作家・お笑い評論家。お笑いやテレビに関する評論、執筆、イベント企画などを手掛ける。『イロモンガール』(白泉社)の漫画原作、『教養としての平成お笑い史』(ディスカヴァー携書)、『とんねるずと「めちゃイケ」の終わり<ポスト平成>のテレビバラエティ論』 (イースト新書)など著書多数。近著は『お笑い世代論 ドリフから霜降り明星まで』(光文社新書)。http://owa-writer.com/

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