ドラマの雰囲気が一瞬で変わった

 TVウォッチャーの中村裕一さんは菊地凛子の演技を「背筋が凍る凄み」と絶賛する。

「さすがハリウッド映画や海外ドラマなど国際的に活躍する俳優だけあって、菊地さんがが出てきただけで、ドラマの雰囲気が一瞬でガラッと変わりました。冷ややかな目つきで、まばたきもせずジッと目を見つめながらスズ子に語りかける姿に、見ているこちらも背筋が凍るような凄みを感じました」

 ヒールめいた際立ったライバルがいてこそ、ヒロインが輝くもの。スズ子に投げかける毒舌が時に「正論」だったりして、視聴者は茨田りつ子に引き込まれてしまうのだ。

「余計なことを言わず、小声で芯を食った言葉を放つ。モデルになった淡谷のり子の持っていた威厳と毒舌ぶりがしっかり再現されており、それでいて、同じ表現者としてスズ子のことを理解し見守る温かい気持ちも私には伝わってきました。

 キツい表情や言葉の中にも“優しさ”を感じさせる、深みと厚みのある演技はさすがだと思います。ここまでの回を見る限り、ヒールというより良き先輩的存在になっていくのではないでしょうか」

紅白歌合戦への期待

 茨田りつ子だけでなく、その他の個性的なキャラクターたちと織りなすドラマや、俳優たちの演技も楽しみだ。さらなる楽しみとして、年末には、俳優陣の「紅白歌合戦」への出場もあるだろうと中村氏は推測する。

「これから先の展開としては、戦争に巻き込まれ、最愛の人との出会いと別れを経験するなど、さまざまな苦難を持ち前の明るさで乗り越えていくスズ子のたくましい姿が描かれていくと予想されます。

 そのドラマにスズ子を演じる趣里さんの俳優としての成長がオーバーラップし、盛り上がっていくことは必至。おそらく特別枠で出演するであろう年末の紅白歌合戦も注目です。

 趣里さんの母親の伊藤蘭さんはすでに46年ぶりの出場が決定していますし、母娘共演となれば、視聴者もさらにテンションが上がるでしょう。作品の評価は最終回を迎えるまでわからないので軽率なことは言えませんが、個人的には前作の『らんまん』に引き続き、期待値がかなり高いことは間違いありません」

 盛り上がりに期待しつつ、しばらくは茨田りつ子の毒舌を堪能したい。(AERA dot.編集部・太田裕子)

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