そもそも質問の目的は、相手に考える機会を与え、自ら答えを見つけ出すきっかけを作ることにあります。上司が同意を得ることが目的であれば、わざわざ誘導尋問のような質問をせずに、ストレートに伝えた方がよほど潔くて好感を持たれます。

 (2)過去にフォーカスした質問

 部下が過去と同じようなミスをしたとき、頭ごなしに、「なんで前に注意したことが改善できていないんだ?」と嫌みたっぷりに問いただすのもやめましょう。

 「なぜ、やらないの?」「なぜ、そんなことをしたの?」などのように、過去の出来事に対して詰め寄る質問をされた場合、相手は萎縮してしまいます。場合によっては、パワハラだと指摘されかねません。

 質問をする際に使う疑問詞によって、相手が受け取る印象は大きく変わります。疑問詞に「Why=なぜ」ではなく、「How=どのように」や「What=何が(を)」を使えば、受け止めやすく答えやすい質問になります。質問で使う言葉の選び方一つで、部下のモチベーションは上がりも下がりもすることを覚えておいてください。

効果的な質問を作る 2つのポイント

 リーダーが組織をマネジメントし、部下の育成に「質問」を取り入れ、成果を出すには、質問のスキルを磨くことは必須となります。効果的な質問を作るための2つのポイントをご紹介しましょう。

 (1)質問は1回に1つが原則

 もしあなたが誰かから「次の休みはどこに行って、何を食べて、その後に何がしたい?」と質問されたら、答えるのにちゅうちょしませんか?

 一度に2つ以上の質問を続けて行うと、相手は混乱して答えにくくなります。この場合は、質問を2回に分けて、順番に投げ掛けていくと答えやすくなります。

 具体的には、「次の休みにどこに行きたいですか?」と最初の質問をして、相手が答えた後で、「そこで何が食べたいですか?」と二つ目の質問を投げ掛けるようにします。そして、「食事の後に何がしたいですか?」と順番に質問していけば良いのです。質問は1文の中に1つが原則と覚えておきましょう。

 (2)範囲を絞って質問する

 質問をする際は、範囲を絞って投げ掛けると相手は答えやすくなります。例えば、「何か困っていることはありますか?」「何か問題はありますか?」などと、範囲を絞らず質問をすると、相手は何について答えれば良いのかが分かりません。

 そこで、まずは範囲を絞って「顧客への対応で困っていることはありますか?」と質問し、その後、さらに絞り込んで「新規客の受け付けを行う際に困っていることはありますか?」などと質問すれば、部下は答えやすくなります。

 質問は漠然とするのではなく、どうすれば答えやすくなるのかを意識して、投げ掛けるようにしましょう。

 かつて私自身が現場でマネジメントを行っていたとき、部下に質問を投げ掛けたことで、今までにない新しいアイデアを思い付いたというケースは少なくありません。部下たちは、自らのアイデアを実現させたいと思い、行動し始めます。

 その行動が結果につながれば、モチベーションも高まり、さらに次の行動へとつながります。また、成果が出なくても、上司が「どうすれば良い結果につながると思う?」などと、さらに質問を投げ掛ければ、次の行動を考えて、また動き出します。

 質問を上手に活用することで、部下は自ら考え、動く人材に成長していきます。そして成長を実感することで成長欲求が満たされ、「この職場でずっと働きたい」と思うようになります。

(岡本文宏:メンタルチャージISC研究所代表取締役)

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