昨年10月1日のインボイス制度の導入後、初の確定申告がやってくる。フリーランスの税務を多く請け負う廣岡実税理士にポイントを聞いた。AERA 2024年2月12日号より。
【図表】原則課税・簡易課税・2割特例のシミュレーションはこちら
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Qインボイス制度後初の確定申告。何が大変?
インボイス制度は消費税に関する制度であるため、所得税の確定申告には直接的には影響はありません。
消費税は、2年前の売上高が1千万円を超えるとその年に課税事業者となり、消費税の申告と納税が必要になるものでしたが、売上高が1千万円以下で免税事業者だった人でも、インボイスに申請・登録した人は今年初めて消費税の申告が必要になります。
毎年所得税の申告だけでもバタバタしている人は、さらに消費税の申告が加わり、混乱してしまうかもしれません。あまりギリギリにならないように準備をしておくことが必要です。
所得税の確定申告の申告期限は3月15日ですが、消費税は3月31日です(今年は日曜日のため、4月1日)。もちろん、所得税の申告書と一緒に消費税の申告書を出しても構いませんが、締め切り日は頭に入れておきましょう。
また、今まで免税事業者で、昨年10月1日からインボイス登録をしたとしたら、消費税の課税期間は10月1日~12月31日の3カ月のみです。所得税と同じように1年分の申告をしてしまうと払いすぎになってしまうので注意が必要です。売上を消費税課税期間とそれ以外にしっかり分けておきましょう。
Q消費税の計算はいろいろあるけど違いは何?
消費税の計算方法には次の2種類があります。
(1)原則課税(一般課税)方式
(2)簡易課税方式
(1)の計算方法を簡単に説明すると、売上で得た(預かった)消費税から仕入れや経費にかかった消費税を差し引いた金額が国に納付する消費税となります。言葉で書くと簡単そうですが、一件一件の取引を把握して厳密に計算していかなければならないので、かなり大変な作業になります。
(2)の計算方法は、売上の消費税額に、業種ごとに決まっている「みなし仕入れ率」をかけることにより、仕入れや経費にかかる消費税額を算出する方法です。みなし仕入れ率とは「この業種ではこの程度の経費が必要だろう」という考えに基づいて決められた割合で、6種に分けられています。