「作者は声をあげられない」という幻想

――二次創作に関するトラブルに巻き込まれている漫画家に向けて、伝えたいことはありますか?

 悩んでいる人は、どうかどうか、「弱い立場だから声をあげられない」って勝手に思い込まないでほしいんですよ。作者より出版社のほうが力があって、その出版社よりテレビ局、テレビ局よりスポンサーが強くて……なんていう幻想に惑わされないでほしい。

 著作権法で、原作者の権利はきちんと保障されています。何もないところから何かを作り出す人は強いんですよ。だから若い方々も誇りを持って、「私の希望はこうです、できないんだったら映像化はお断りします」と、堂々と言って頂きたい。ときには、「ここで逆らったら二度と描けないよ」って脅かしてくる、とんでもない人もいるかもしれない。でも、どうかだまされないで頂きたい。

 映像作品の制作陣は大所帯ですが、漫画の原作者は基本的に一人です。それに、創作の世界に没頭して、一般常識とはまたちがった基準で生きているクリエイターの中には、誰かと密にコミュニケーションをとることや、何かを相談したり物申したりすることが苦手な方もたくさんいらっしゃる。だからこそ出版社の方には、ぜひとも一人ひとりの漫画家を守り、支えて頂きたいと思っています。

(AERA dot.編集部・大谷百合絵)

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厚生労働省は悩みを抱えている人に対して相談窓口の利用を呼びかけている。
ナビダイヤル 0570・783・556(午前10・00~午後10・00)
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大谷百合絵

大谷百合絵

1995年、東京都生まれ。国際基督教大学教養学部卒業。朝日新聞水戸総局で記者のキャリアをスタートした後、「週刊朝日」や「AERA dot.」編集部へ。“雑食系”記者として、身のまわりの「なぜ?」を追いかける。AERA dot.ポッドキャストのMC担当。

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