中森明菜といえば、デビュー曲の『スローモーション』や、世に衝撃を与えた『少女A』もある。なぜ、そうした楽曲ではなく、『SOLITUDE』なのか?
「中森明菜は“歌姫”と神格化され、多くの人が想起する楽曲は『少女A』『DESIRE -情熱-』、ときどき『ミ・アモーレ〔Meu amor é・・・〕』といった感じで幅が狭い。
けれども、中森明菜の楽曲は実は非常に深みがある。私があげた楽曲は、いま聴いて本当に何度もいうけれどもかっこいい。彼氏をずっと校門の前で待っているカワイイ女の子像とか、男にフラれて飲み屋で1人酒を飲んで泣く女性のような、80年代の歌謡曲にありがちだった女性像とは、まったく違う女性像が浮かび上がってきます。
男性と対等なパワーでぶつかり合う女性像。だからこそ、都会的でかっこいい。そんなアーバン歌謡は、令和の世にこそ、もう一度注目されるべき。実は中森明菜の真髄は、このアーバン歌謡にこそあるのだと思います」
中森明菜の活動の情報量の多さ
スージー鈴木氏は、中森明菜が「歌姫」と呼ばれつつ、数曲の楽曲しか語られないことに疑問を持っていた。「もっと他の曲を聴こうじゃないか、もっとバランスよくアルバムの曲も聴いてみようじゃないか」と、デビュー曲から全てを聴きなおし、9カ月間かけて本にまとめた。それが「中森明菜の音楽1982-1991」だ。
「以前から、直感的に中森明菜の曲には『ものすごく深みがあるのではないか』とは思っていた。デビュー曲の来生姉弟から始まり、作詞家・作曲家だけでもめちゃくちゃ多くて、活動の情報量が多すぎる。もう続編は書けません!(笑)」というほど、熱を込めた。
そんなスージー鈴木氏に、いまこそ聴きたい中森明菜の楽曲を、3曲をあげてもらった。