「SOLITUDE」(ファン私物/撮影・中村隆太郎)

■『SOLITUDE』(1985年10月9日リリース/作詞・湯川れい子 作曲・タケカワユキヒデ 編曲・中村哲)

 アーバン歌謡の端緒となった曲でもある。

「この曲がリリースされた85年は、テレビ番組『夕やけニャンニャン』(フジテレビ)から誕生したおニャン子クラブの時代です。 

 とんねるずが『雨の西麻布』を、小泉今日子は『なんてったってアイドル』という芸能界をポップに斜めに見るような曲を出すような時代に、中森明菜は独自の路線を貫いていた。あの時代によくこんな曲を出せたと思います。

 25階の非常口で爪を切る情景から始まり、その後もホテルでたたずんでいるだけですよ! 全く動きのない曲。私は日本で唯一の“爪切り歌謡”と呼んでいます(笑)。

 だからこそ、この楽曲には“超然”という言葉が似合う。湯川れい子さんはよくこんな歌詞が書けたなと思います。そして、最初から最後まで都会的なサウンドで、とにかく歌謡曲の中で異彩を放っていると思います」

『SOLITUDE』は再び高い評価を受けても

 70年代から80年代に日本で制作された楽曲が「シティ・ポップ」として世界的にも有名になっているが、スージー鈴木氏は『SOLITUDE』を「いまの若者にとっては、まさに“シティ・ポップ”としても聴ける」という。

「シティ・ポップのブームがあるのなら、もう一回、この曲が高い評価をされてもいいのではないか。何の動きもないのに、こんな洗練された歌謡曲があったのか! という感じですね。しかも、この曲を出したとき、中森明菜は20歳。20歳で爪切るんですから!」

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