※2025年3月卒業・修了予定の大学3年、大学院1年で就活情報サイト「あさがくナビ」会員、学情主催イベント来場学生を対象に23年4~10月、最大5社を選択するアンケートを実施(有効回答7715人)。回答数に文理、男女などによる補正を加え、ランキング1位を100ポイントとした相対値によって2位以下のポイントを算出した。 「24卒順位」で赤く塗られた企業は昨年比アップ。グレーは昨年比ダウン

 新卒向け就活情報サイト「あさがくナビ」を運営する学情が、昨年秋に2025年卒対象のランキングを公表した。上位の企業名を見ると、コンテンツ系企業の学生人気が高まっていることがわかる。「あさがくナビ」編集長が解説する。AERA 2024年2月5日号より。

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 今回のランキングでは、2位講談社、3位集英社、7位KADOKAWA、9位小学館と、01年卒ランキング以来初めて上位10社のうち出版社が4社を占めた。講談社人事部の岩崎志子さんは、コロナ禍を経て出版の人気が高まったのでは、と語る。

「巣ごもり需要でエンタメに接する時間が世界全体を見ても増え、それがライフスタイルの中に定着したと感じます」

 スマホなどによりネットコンテンツが広く普及し、様々なコンテンツに触れることが簡単になった。とりわけ『鬼滅の刃』(集英社)大ヒットの影響で幅広い世代がアニメや漫画を楽しむようになり、「鬼滅」に続くヒット作が多数生まれるようになったと岩崎さんは見る。

「かつては漫画が好きな人でも、ある時期がくるとライフスタイルの変化などを理由に漫画を『卒業』することが多かったと思います。一方、今はスマホなどを使っていつまでもコンテンツを身近に置くことができ、『卒業』しなくてもよくなった。ある意味、日本人が『総オタク化』しているのかもしれません」(岩崎さん)

コンテンツ系企業人気

 人気の高い出版社はいずれも、電子書籍や版権(IP/知的財産)関連ビジネスに力を入れ成果が出ている。講談社は20年度にデジタル・版権分野中心の「事業収入」が紙媒体の「製品」売り上げを初めて上回り、21年度には創業以来最高益を計上した。

「紙の本をつくっているだけではなく、いろいろなことができる会社というところを採用活動でも打ち出しています。そこが評価に繋がっているとうれしいです」(岩崎さん)

AERA 2月5日号
AERA 2月5日号

 出版社以外にも、任天堂(4位)やバンダイナムコエンターテインメント(33位)などのゲーム・おもちゃ業界、東宝(32位)や東映(61位)などの映画業界といった有力なコンテンツを持つ企業の人気が高まっている。このランキングは就活をはじめてまもない学生が対象で、学生に知名度の高い企業が上位に来る傾向はあるが、働き方評論家の常見陽平・千葉商科大准教授は、「かつてサブカルチャーといわれたジャンルがいまはメインカルチャーになっている。人気上位の出版社などは、コンテンツの作り方や育て方、お金にする方法がうまくなっており、就活についてよく考えている学生にも人気があるのでは」と分析する。

 IT業界も、人気がじわじわと上がっている。理系学生対象のランキングを見ると、3位にSky、4位にアウトソーシングテクノロジーとIT企業がランクインした。

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福井洋平

福井洋平

2001年朝日新聞社に入社。週刊朝日、青森総局、AERA、AERAムック教育、ジュニア編集部などを経て2023年「あさがくナビ」編集長に就任。「就活ニュースペーパー」で就活生の役に立つ情報を発信中。

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