ドナルド・トランプ前大統領
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「もしトラ」(もしもトランプ大統領が再登場したら?)が話題だ。前大統領のドナルド・トランプ氏(77)と元国連大使のニッキー・ヘイリー氏(52)の一騎打ちの様相を呈している共和党の大統領候補者争いだが、現時点ではトランプ氏が圧倒的な強さを見せている。刑事事件で起訴されながらも、なぜトランプ氏は支持を集めるのか。

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「今のアメリカは、まるで真実が二つあるかのような状態です」

 現代アメリカ政治が専門の前嶋和弘・上智大教授は、「トランプ劇場」の“再演”にわくアメリカの社会状況をそう表現する。

「真実はひとつ」とはよく聞くが、「二つの真実」とは一体どういうことなのか。

 前嶋氏は「情報ソースの分断が起きている」と言う。

「共和党支持者の多い南部、中西部では、FOXニュースなどの保守系メディアや偏ったネット世論から情報を摂取している人が多い。彼らは、ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポスト、CNNなどの報道について、『嘘ばかりだ』と思っています。だからこうしたメディアに接することはありません」

 根底にあるのは、深刻なメディア不信だ。特に共和党支持者の間で著しいという。

 米国ギャラップ社が毎年行っている調査によると、党の支持者別の「マスメディアへの信頼」(Trust in Mass Media)は、2023年、民主党支持者では58%であった一方で、共和党支持者ではなんと11%だった。1998年調査では52%(民主党は59%)だったことを考えると、ここ20年近くで、共和党支持者の間でメディア不信が急激に進行していることがわかる。

 なぜ、二つの政党の間でここまで差が生まれたのだろうか。

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規制緩和で保守系メディアが台頭