規制緩和で保守系メディアが台頭

言い争うトランプ支持者と反対派

「共和党支持者が多い南部や中西部と、大手メディアが本拠を置くニューヨークやワシントン(D.C.)など民主党支持者が多い東部では、価値観に大きな違いがあります」

 たとえば、宗教観だ。

「アメリカの人口の20~25%を占める宗教保守は、南部や中西部に偏在していて、トランプを支持しています。彼らは、人工妊娠中絶や同性婚を絶対に認めない層で、リベラルと同居することは不可能です」

 妊娠中絶や同性婚を人権として扱う現代の主要メディアとも、根本的に相いれない。その代わりに、彼らが情報源とするのが、保守系メディアであるFOXニュースやワン・アメリカ・ニュース・ネットワーク、あるいは偏ったネット世論なのだという。

「アメリカでは80年代の規制緩和で、特に地上波放送における公平性の原則『フェアネス・ドクトリン』が廃止され、保守系メディアが台頭してきました。たとえば『民主党が世の中を悪くしている』『オバマはコミュニストだ』などといった根拠のない内容を出しています。こういった保守系メディアは南部、中西部で盛んに視聴され、『私たちは騙されていたんだ』『主要メディアはウソを言っている』などと思い込む人たちが出てきて、メディア不信が共和党支持者の間で急速に進んでいるのだと思います。その極端な例が、Qアノンや、『ディープステート』(影の政府)の存在を信じる陰謀論者たちです」(前嶋氏)

 トランプ支持者たちは、「トランプは“善”で、バイデンを“悪”と捉えている」と前嶋氏は言う。だから、相次いで刑事事件で提訴されようと、起訴されようと、支持率が落ちることはなく、むしろ上がっていくのだという。

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