オルカンは世界中の企業に投資することで分散効果が狙えるとはいえ、投資の対象はあくまで株式だ。経済や相場の状況によって、値上がりしたり値下がりしたりする振れ幅は債券など値動きが安定した商品よりも大きい。

 オルカンはリスク許容度が比較的高い人向けの商品であるということを念頭に置いておくべきだろう。

 さらに、頼藤さんは次のように話す。

新NISAは『神改正』などと言われることもありますが、あくまで投資であることに変わりません。このため、3年後や5年後に使う予定のある資金を新NISAで用意するのは間違い。そうした資金は定期預金や変動10年国債など元本割れせず少しでも高い金利がつく商品を利用するべきです。資金を『いつ使うのか』や貯める目的によって色分けし、新NISAには無理のない範囲で回すべきでしょう」

手数料が安いものも

 世界株に投資する商品は、当然、オルカンだけではない。ほかにもたくさんある。信託報酬が現時点で「0.05775%以内」のオルカンよりも、手数料が安いものもある。

 楽天投信投資顧問の「楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド」はオルカンよりも安い水準だ。また、野村アセットマネジメントの「はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)」などは、信託報酬がオルカンと同程度の水準となっている。

 頼藤さんは言う。

「オルカンは他社に先駆けて手数料を低く抑えたり、純資産残高が一定の額を超えると超えた分の信託報酬を安くする仕組みを導入したりすることで投資家からの評価が高いのは確か。ただ、同じ指数との連動を目指す商品なら、運用成績はほとんど変わりません。手数料が安いのであれば、オルカンにこだわる必要もありません」

(AERA dot.編集部・池田正史)

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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