最新単焦点フォビオン機は広角21mm相当
2月に横浜で開催されたCP+2015で突如姿を現したdp0 Quattro(クアトロ)が発売された。クアトロシリーズの中でも最も焦点距離が短い14mm(35mm判換算で21mm相当)の超広角レンズ仕様だ。これまでのDPシリーズにもなかった焦点距離である。DPメリルシリーズのころから超広角レンズ機を望む声は多く、まさに待望のモデルといえる。加えて、低分散ガラスや非球面レンズをふんだんに使用し倍率色収差をはじめ諸収差を徹底的に排除している。「ディストーションゼロを追求」というコンセプトにそそられる人も多いだろう。
なお広角19mmレンズのdp1クアトロで追加された「パープルフリンジ除去」はdp0 クアトロでは姿を消している。今回、歪曲や周辺画質の結果を見やすい高層ビルなどの建築物を多く撮影したが、確かに気になるような歪みはほとんどなく、さほど絞り込まなくても画面周辺までシャープに結像する頼もしい描写力を実感できた。むしろ、生半可な手持ち撮影でわずかに傾いてしまった画像が、レンズの性能に対して申し訳ないような気持ちにさえさせられる。横着はせずに三脚に据えデジタル水準器とグリッド表示も併用すれば、建物の水平・垂直線をキッチリ出せクオリティーの高い建築撮影が可能だが、そのためにも別売のLCDビューファインダーLVF-01は必携のアイテムだが、液晶モニターの解像度や拡大表示倍率をもう少し引き上げてほしいところだ。
センサーや画像エンジンなど、基本的な仕様はdpクアトロシリーズ共通なので説明は割愛するが、AF速度向上やホワイトバランスの改善のほか、撮影設定メニューにはシャッターボタン半押しのAF動作有無の切り替えが追加された。また、背面液晶の表示内容を好みにカスタマイズできるディスプレーモードの名称や表記が変更され、二つ増え計4種類の異なる表示設定を登録可能になり、Eye-Fiカードへの対応メニューも追加された。これらは既存のdpクアトロシリーズでもファームウェアのバージョンアップで対応される。
dpクアトロはシリーズをそろえて所有したくなる機種だが、このdp0 クアトロは広角担当として、一眼レフなどの交換レンズの20mmレンズに置き換える使い方もアリな特別の存在になりえる。
◆ 宇佐見 健
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●レンズ:14mmF4。8群11枚、最短撮影距離18cm。撮影倍率:1:7.8●撮像素子:有効約2900万画素。23.5×15.7mm、Foveon X3 ダイレクトイメージセンサー(CMOS)、総画素数:約3300万画素(トップ:5424×3616、ミドル/ボトム:2712×1808)●モニター:3.0型TFT。約92万ドット●シャッター:1/2000~30秒(最高シャッター速度は、絞りによって変化)●撮像感度:オート、ISO100~6400●内蔵ストロボ:なし●記録媒体:SDメモリーカード(SDHC/SDXC対応)●大きさ・重さ:161.4×67×126mm・500g(本体のみ)●価格:オープン(実売10万9620円)