7月に韮山反射炉や軍艦島などが「明治日本の産業革命遺産」として世界遺産登録されたことが話題になった。富岡製糸場や富士山のときももちろん、世界遺産の話題は常に注目を集める。もっとも、歴史的建造物や貴重な自然以外にも、後世に伝えるべき“遺産”としての価値があるものも、ある。
人権宣言、ベートーベンの「第9」、「アンネの日記」、ロスチャイルド文書、日本からは慶長遣欧使節に関する資料など。文学や楽譜、歴史的文書といった、人類史上において価値の高い文書や記録を保存していくユネスコの事業、それが世界記憶遺産だ。
本書は現在300以上ある記憶遺産の中から、世界遺産に関するシンクタンクの設立者でもある著者が、「文化」「闘争」「歴史」という観点から60をチョイス、分かりやすく解説する。
それぞれがどういうもので、どこが「遺産」に値するポイントなのか、知っていそうでいて詳細は実はあまり知らないような“人類の経験値”の記録を、「かゆいところに」系のように教えてもらえる。
※週刊朝日 2015年8月14日号