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刃物で強襲されたとき、生死を分けるのは「初動」。極限の状況で取るべき行動は何か、わからない人の方が多いのではないだろうか。1月3日に山手線内で発生した殺傷事件は、いつどこで起こるかわからない。自分や大切な人の命を守るためには、事前に知識を持っておくことが肝心だ。「刃物から身を守る方法」と「犯人から逃げるときの注意点」をこの記事で確認してほしい。(防犯コンサルタント 松丸俊彦)

事件に巻き込まれないための「準備」

 刃物で強襲された時の対処法や犯人と距離を取る方法はもちろん大事ですが、不審者をいち早く見つけ、至近距離で事件に巻き込まれないようにすることが前提です。

 そのために重要なのが、周りに注意を配るということです。当たり前のことですが、スマートフォンを使ったり、イヤホンをして音を遮断していたりする人が多く見受けられます。これでは、不審者に襲われた時にどうしても初動が遅れてしまいます。

 実際に、21年10月31日に京王線内で起きた殺傷事件の映像で、乗客が隣の車両から走って逃げてきているにもかかわらず、ヘッドホンをしていて逃げ遅れている人が映っていました。イヤホンをするにしても片耳は空けた状態にしたり、スマホをずっと眺めるのではなくて頻繁に顔を起こしたりすることで、初動への反応スピードを上げることができます。

 では、不審な人物はどのように特定すればいいのでしょうか。第六感を使ってください。皆さんも電車内などで「何かが怪しい」と感じる人と遭遇したことがあると思います。そうした、言葉には表せない直感が非常に重要です。思い込みや差別に基づいた判断には気をつけながら、感覚的な気づきを得られるように周りに気を配ってください。

 不審な人物を見つけた場合は、その人物を意識に留めておいてください。そして可能であれば距離を取るようにしてください。いつも乗るお気に入りの車両を諦めて、少し離れた車両に移るとよいでしょう。この方法は、突然襲われた時だけではなく、ストーカーや痴漢といった継続的な犯罪を防止することにもつながります。家や職場を出る時に違和感を感じた人物や普段見かけない車がいれば、それらを気に留めておくのです。

 公安時代の私の経験で言うと、こうした習慣を継続することで日常に潜む違和感への感度を徐々に高めることができます。皆さんの生活にもぜひ取り入れてみてください。まずは日頃から被害を未然に防ぐための準備が肝心です。

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