こうしてポテチの新鮮さとパリパリ度を評価してもらったところ、同じポテチでも音量を大きくしたり高音域を強く出したりした時のほうが、15%程度かみごたえが強く、新鮮に感じられることが分かった。音が、食べ物の味わいを変えた、というわけだ。
食は五感で楽しむもの
リンゴ、セロリ、ニンジン、クラッカーなど、カリカリ、コリコリした食べ物なら同様の効果が得られるという。また、別の研究者たちがこの発見をちょっといじり、ポテチの音をガラスが砕ける音に差し替えたところ、被験者の顎が固まってしまった、なんてこともあったそう。
聴覚以外の五感も味の感じ方に影響しており、スペンス教授は研究を通して食品会社の商品開発やマーケティング戦略を手伝ったり、有名シェフとコラボしたりしている。これまでに行った研究として次のものがある。
他にも五感以外で、食事をする時の体験そのものが美味しさを左右するとして、こんな知見も集めてきた。
ここまで言われると、「食べ物は味がすべて」というわけではないことがよく分かる。ならば巷でよく聞く「見た目は悪いけど味は良い」というのは、ただのお情けから出た言葉なのだろうか。
そして最近よく見かける「フォトジェニック」な食べ物は、巧妙に的を射ているようにも思える。我が家でも近々、フォトジェニックにスーパーのお刺身を並べて、波の音でも流しながら食べることにしようか。