大宮エリーさん(右)と伊沢拓司さん(撮影/写真映像部・佐藤創紀)
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 作家・画家の大宮エリーさんの連載「東大ふたり同窓会」。東大卒を隠して生きてきたという大宮さんが、同窓生と語り合い、東大ってなんぼのもんかと考えます。クイズプレーヤーの伊沢拓司さんに東大に行った理由を聞きました。

*  *  *

大宮:どうして東大に?

伊沢:高校生クイズに出たときに「志望校はもちろん東大」って勝手にアナウンスされちゃったんですね。

大宮:あらららら。

伊沢:となると、東大行かないとクイズ番組に呼んでもらえないな、と。

大宮:(笑)。

伊沢:そういう不純な動機で受けたんで、入学しても、何していいか分かんないんですよ。

大宮:私もやりたいことなかったんです。だから東大にしたんですよね。

伊沢:進振り(2年次に3年からの学部を決める進学選択)があるからですか?

大宮:そうそう。1、2年は猶予があるじゃない。一般教養で理系じゃない授業が受けられた。その2年間で、何か見つかるんじゃないかと。

伊沢:僕はそれすらなかったです。入って、「ああ、もう何したらいいか分からない」ってなっちゃいました。とりあえず文IIで入ったから経済学部に行ったら、税制って面白いなというふうになったんで。たまたま見つかったからよかったですけど、結構な回り道にはなりましたし。

大宮:そっか、そっか。シケプリ(試験対策プリント)とかは?

伊沢:一応プリントをもらってはいたんですけど、後輩に渡そうとしたら、クラスのリーダー的な女の子に「勝手に渡しちゃダメ」ってめっちゃ怒られて。それで揉(も)めてクラスから離脱しました。

大宮:よく留年しなかったね。

伊沢:ギリギリでした。男子校的な流儀でいっちゃったせいで、だんだんなじめなくなってきて。

大宮:待って待って。だって開成からたくさん同級生が。

伊沢:クラスにもう1人ぐらいはいるんですけど、多数派取れるほどではなく、入学して5月に同窓生で集まったら「何かうまくいかねえな」って全員言ってるんですよ(笑)。「女の子とうまくいかなくて」とか「ちょっとなじめねえわ」みたいな。

大宮:意外。親戚が東大に行きたいって言ったら、薦めます?

伊沢:その子にインタビューしたいですね。東大で何がしたいの?って。「やりたいことないと苦労するよ」という話はしておきたいですね、パイセンとして。東大が、というより、ほかの大学で相対的にできることが増えてきたりとか、設備が私大のほうが充実してたりとか。いい先生いっぱいいたりとかするんで。僕が本当に東大に行ったのが正解だったのかは、分かんないなと思います。

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