体力面でキツくても、まだ新しい挑戦も可能な50代。一度きりの人生を後悔しないよう、「人生の棚卸し」をしてみてはいかがだろう。AERA 2023年12月18日号より。
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いまの50歳は、団塊ジュニア世代にあたり、働き始めたのは、就職氷河期の頃。苦労しながらもしぶとく生き抜いてきた世代だが、目の前の仕事に追われていたり、まだまだ子育て真っ最中だったりする人も多く、自分について考える時間が持てないままという人も多い。
そんな多忙な50歳に「人生の棚卸しシート」の活用を勧めるのは、経営コンサルタントの小林未千さん(53)だ。幼少期からの経験、学歴や職歴に加えて自分の好きなこと、得意なことをどんどん書き出すシートだ。俯瞰してみると、自分の価値が浮かび上がってくるという。
例えば「再就職したいけれど、何も特技がない」という人。棚卸しシートを書いてもらったら、長らく保育士として働いてきて、季節に応じた壁面製作が子どもや保護者に大好評だったことがわかり、ウェブデザイナーへ道が開けたという。
「美術を専門的に学んでいなくても、デザインの素質十分で経験もある。自信を持つことができれば、強い。自分に対して積極的かつ肯定的に、そして楽観的に、年齢と時代の変化を味わい尽くすことができます」(小林さん)
得意なことや人より秀でたことがなかったとしても、大丈夫だ。著書に『50歳から花開く人、50歳で止まる人』がある文筆家の有川真由美さんは、言う。
「出世しなくとも、会社に勤め続けていることはもちろん、ジョギングなどの趣味も『続けていること』が評価に変わるのも50代です」
確かに、そう考えるとポジティブな気持ちになる。さらに、良いメンタル状態を保つためには、人間関係の断捨離も欠かせないだろう。否定する人、マウントを取ってくる人。無理をしなければならない付き合いは避けることが賢明だ。
「無理をしてまで人と会うことをやめました。街に出ることも以前より疲れるようにもなっている。人と関わる予定を減らしていくのは心身ともに必要だと思います」