岡さんは筑波大学人間系教授。専門は障害者教育史で、社会で弱い立場におかれた人々に研究の目を向けてきた。ユダヤ人救援に着目したのは「極限状況に置かれたとき、人は何を信じ、どう行動するか」を描きたかったからだという。他の著書に『ナチスに抗った障害者 盲人オットー・ヴァイトのユダヤ人救援』がある。
岡さんは受賞について、
「ユダヤ人を助けた人の多くは、名もない民衆でした。地位も後ろ盾もない人々が、素朴な良心に突き動かされて人間的な行動をした。残念ながら、いまはユダヤ人と聞くと、ハマスとの武力紛争が連想されるかもしれません。それでも、今のイスラエルを含め、いつの世にも、どの民族にも人を助けようとする人はいる。それを信じていくことに、人間への最後の信頼をおきたい。(選考委員が)世界が分断に直面している今こそ、と評価してくださったことを光栄に思います」
と話した。
また、司馬遼太郎フェローシップは朋優学院高2年、船橋櫂(かい)さん(17)に決まった。いずれも贈賞式は来年2月12日、東京・文京区のシビックホールで行われる菜の花忌シンポジウム会場で行われる。
(山本朋史、藤井達哉)