落語家・春風亭一之輔さんが連載中のコラム「ああ、それ私よく知ってます。」。今回のお題は「支持率」。
岸田内閣の支持率が21%。低い。支持率としては低いけど、HI-Cオレンジの果汁とほぼ同じと考えてみる。なかなかだ。懐かしいな、HI-C。今は果汁100%のジュースが幅をきかせているが昔はそんな岸田さんの支持率くらいのジュースが沢山あって、老いも若きもそれをゴクゴク飲んでいた。100%なんてお中元で頂くぐらいのもので、「100%!? すげーっ! しかも、こここ、これは水で薄めないで飲むやつだ!!」と一度神棚にあげて拝んでから、ゆっくりゆっくり頂戴したものだ。本当のこというと、100%の濃度についていけず「なんか苦いな、これ」とか思っていたが、そのあとHI-Cを口にすると水みたいにグイグイ飲めた。子どもにはそれくらいがちょうどよかったのだ。ビバ「果汁入り飲料」。
いかん。このままだと昔の懐かしい飲料の話になってしまう。まぁジュースならそれでいいのだが、内閣の支持率となると21%はちょっと危険水域。そんなHI-C内閣に今だれが一番ヤキモキしているか考えてみた。
たぶん……饅頭屋さんじゃないかな。あの国会や靖国神社で売ってる、総理大臣や政権が新しくなるたびに「おめでた饅頭」を作ってる会社。あそこの社長は今、気が気じゃないんじゃなかろうか。ちなみに岸田さんが首相になったときは「誕生!! キッシー はちみつレモン風味まんじゅう」が発売され、今も売店に並んでるらしい。広島出身の岸田さんなので名産のレモンを使っているという。でも広島はすでに「もみじ饅頭」という王者が覇権を握っている土地。そんな揺るぎようもない饅頭一党独裁政権の国に生まれながらも、あえてというか、慣習に則って饅頭で対抗していくそんな岸田さん(勝手に業者が作ってるのだが)がいじらしい。