「もう一歩、進みたい」。自分の意思で決断しTOBEに合流してひと月余り、北山宏光が過ごす日常とは。楽曲制作やこの先の40代について語る。AERA2023年11月27日号より。
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──楽曲制作について瞳を輝かせて語る姿に、心から楽しくて仕方がない様子が伝わってくる。ほぼ自分の責任主体で動ける分「責任は重い」とも語るが、それも楽しそうだ。
1曲、構築するのにもやっぱり時間がかかるんです。なんか違うな、と思ったらブラッシュアップして……の繰り返し。昨日はいいと思ったのに、今日はなんか違うなってこともよくあります。めっちゃいい歌詞が書けたと思ったのに、改めて見たら子どもみたいだな、とか(笑)。じっくり作れるけど、リリースを考えたら、ある程度はスピーディーにも作らなきゃいけないから、そういう難しさはありますね。
見据える40代の自分
──そんな環境のなかで生まれたのが、17日に配信リリースした、デジタルシングル「乱心-RANSHIN-」だ。
大枠でいうとロックです。曲は別の方が手掛けてくれたんですけど、歌詞は全部、僕が書きました。MVでは結構、踊ってます(笑)。MVは多国籍のイメージだけど、歌詞は日本語で遊んでいるから、ちょっと「和」を感じるかもしれない。海外では存在しないような日本独自の音を持つ言葉を入れたくなって。思いついたのが「とおりゃんせ」だった。あと、漫画のコマの後ろにあるような「バーン」とか「ドドド」といった擬音、オノマトペも入れています。早く聴いてもらって(インタビュー時は発表前)その反応を見たいな。それが今一番楽しみにしていることですね。
──変化する環境の中でも「ここは変わらない、譲れない」と感じる部分を尋ねた。
妥協しない、ということは譲れないですね。「これぐらいでいっか」は後悔するし、バレます。だけど、ただ全力でやればいいというものでもなくて。一生懸命の「やりすぎ感」が出ちゃうとよくないこともあるんですよ。特にバラエティーとか、芝居のときなんかは、力が抜けたぐらいの方がよかったりする。だから、1回全力でやって、そこから「抜く」ということに力を入れていく……難しいですよね(笑)。よくいう言葉だけど「頭はクールに、心は熱く」。そのバランスが瞬時にコントロールできると一番いいんでしょうけど。