と発言。遺族側の代理人を務める川人博弁護士は「納得できず、事実認定と評価は失当(不当)だ。劇団と上級生の責任を否定する方向に誘導している」として再検証を強く求める事態になっている。
歌劇団側は会見で今後について、(1)年間興行数を9から8にする(2)週の公演数を10から9に減らす(3)稽古のあり方を改善する(4)外部の通報窓口の新設を検討──などの対応を説明した。だが、亡くなった女性が苦しんだ要因のひとつである上級生との関係に踏み込んだ対策が語られることはなかった。
先輩と特殊な従属関係
過労死弁護団全国連絡会議幹事長・玉木一成弁護士は、今回の歌劇団の対応について、「調査が不十分。なんらかの制約を受けたか、自己規制した中で行われている印象がある」とした上で、こう指摘する。
「パワハラと長時間労働によって亡くなるという典型的で過酷な例です。宝塚という特殊な世界とはいえ、ひとつの企業としてとらえると、『先輩』は管理者や上司にあたる。その『先輩』と特殊で強固な従属関係があり、理不尽な支配が強まっているにもかかわらず、経営幹部や第三者からの指導や管理が入りにくい構造があった。そこを是正しなければ、何度も同じことが起きる」
前出の指導者の女性は言う。
「亡くなった女性をいじめた劇団員は、おやめになるべき。それが組織として唯一、信頼回復する道ではないでしょうか」
宝塚は、どう応えるのか。(編集部・古田真梨子)
※AERA 2023年11月27日号