西出さんは「雅子さまの気持ちあってのお辞儀だからこそ」だと続けてこう話す。
「気持ちがなければ、そこまで人の心は動かないものです。見た目の整えた佇まいや型通りのお辞儀というのは目にすることもあるかもしれませんが、心を打つ感動までいかないんですよね。お辞儀姿に感動まで覚えるほどの雅子さまの姿は、やはり気持ちが先にあってのお辞儀だからだと思います」
表情も晴れやか
「感動」とは少々大げさに思えるかもしれないが、雅子さまのお辞儀姿を西出さんに解説してもらいながら写真をよく見ると「なるほど」という点がいくつもある。
「まず、お辞儀の型。通常、頭のてっぺんから腰を真っ直ぐにして腰から曲げていきます。しかしこの時は、首から頭が下がっていらっしゃる印象を受けます。
もちろん、雅子さまは腰から真っ直ぐ曲げるお辞儀は日頃からなさっていらっしゃるわけですが、今回は傘をさしているので、腰から真っすぐ前傾させてしまうと、傘がぶつかったり、しずくが相手にかかったりする可能性があります。だから、相手に対する配慮をとっさに形として表したお辞儀だと思いました」
お辞儀は、そもそもただ頭を下げるだけではないのが大事とわかるのが、雅子さまのその表情だ。
「お辞儀をして、下を向いている表情にも微笑みがありました。頭を下げられているときの表情も大変素敵でいらっしゃいましたね。マスク越しでしたが、とにかく瞳が輝いて微笑まれている。いわゆる目が微笑んでいらっしゃるんですね。一般的に人は見られていないと思う瞬間に普段の表情や態度が出てしまうものですが、雅子さまは、常に相手への気持ちがあるからこその表情を始終なさっていたと思います」