山崎監督は1954年の1作目「ゴジラ」の多大な影響を受けているという。1作目は、人間たちが繰り広げる実写ドラマ(本多猪四郎監督)と、ゴジラによる破壊風景の特撮(円谷英二特殊技術監督)の連動が濃密で、名作との誉れが高い。本多・円谷が到達した境地に、VFXの達人であり、映画「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズなどで感動的なドラマを紡いできた山崎監督が挑んだ格好でもある。
監督は「『観る』のではなく、『体験』するにふさわしい作品になった」という。今回のゴジラは、深い絶望と共に出現する「恐怖」の象徴として、今まで以上に、あなたに近づいてくるに違いない。(著述家・米原範彦)
※AERA 2023年10月30日号