怪獣 ゴジラ(c)2023 TOHO CO., LTD.
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 最新作のゴジラは戦後の日本に絶望と共に現れる。節目の作品を手掛けた山崎貴監督が、コロナ禍での撮影を感慨深く振り返った。AERA 2023年10月30日号の記事より。

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 待ちに待った「それ」が戻ってくる──。戦後の日本人とともに歩んできたゴジラ70周年を記念した大作映画「ゴジラ-1.0」が11月3日から全国公開される。大のゴジラ好きを自認する山崎貴監督による作品で、東宝の「和製ゴジラ」30作目にもあたる。

 獰猛さゆえに「恐怖」を感じさせる半面、親しみ深い「愛らしさ」の要素や、「もの悲しさ」すらもよおさせる一面も見せてきた今までのゴジラ。今作ではどんな存在として現前してくるのか。

 今月上旬、本誌表紙のゴジラの撮影会があった。鋭い目、隆起部分が著しい小さな頭部、胸や腕の発達した筋肉、堂々たる太い脚……。被写体は1メートルほどの細密なミニチュアだが、狂暴な躍動感が全身に漲っている。そのシルエットのフォームはバランスが絶妙で、巨体のアスリートや仁王像にも通じる格好良さだ。

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